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更新日:2017年12月28日

交通弱者対策に係る特別委員会行政視察報告書(平成29年度)

1参加委員

白水敬一委員長、浦田関夫副委員長

中村健一委員、原雄一郎委員、山下壽次委員、林正樹委員、吉村慎一郎委員、

江里孝男委員、楢﨑三千夫委員、宮崎卓委員、青木茂(5期)委員、石﨑俊治委員、

山下正雄委員、進藤健介委員、宮本悦子委員、

2察日

平成29年10月30日(月曜日)から31日(火曜日)まで

3視察概要・所感

(1)視察項目:福知山市敬老乗車券事業について、運転免許証自主返納支援事業について察先:京都府京丹後市

概要

福知山市は、京都市からは60km、大阪市からは70kmの距離にあり、国道9号をはじめとする多くの国道や舞鶴若狭自動車道、JR山陰本線・福知山線および京都丹後鉄道宮福線などが通る北近畿の交通の要衝となっている地域である。

しかし、進行する人口減少・少子高齢化や現代の自動車に依存した社会構造などにより、公共交通の利用は減少している状況にある。

福知山市においては、公共交通の利用促進を図るとともに、高齢者の社会参加を促し、地域の活力向上と健康寿命の長寿命化を目的に、「福知山市敬老乗車券事業」を実施している。

75歳以上の高齢者を対象に、1人3冊までを限度として1冊3,000円分の敬老乗車券を500円で販売し、使用された乗車券相当額を運行業者に補填するものである。

また近年、全国的に高齢ドライバー等の交通事故が社会問題となっていることから、高齢者等による交通事故の増加の抑制を図り、市民の安心で安全な生活環境を守るため、福知山市では、運転に自信がない、運転する機会が少なくなった高齢者等に、運転免許証を自主返納しやすい環境を提供し、交通事故の減少を図る目的で、「高齢者運転免許証自主返納支援事業」が実施されている。

その内容は、75歳以上の高齢者等を対象に、次の返納特典を付与して返納推進を図っている。

  • 運転経歴証明書交付手数料(1,000円)を交付
  • 敬老乗車券2冊(6,000円分)、またはタクシー券(5,000円分)を交付
  • 郷土資料館・記念美術館共通券(1枚)を交付

上記3点については返納時1回だけであるが、継続的に利用できる支援制度として、

  • 市営バス定期券・まちなか循環路線バス定期券(通常8,400円)を2,000円で購入できる
  • 運転免許証自主返納推進を協賛する地元企業の特典を受けられる
  • 敬老乗車券の購入上限冊数を3冊から5冊に拡充

を実施されている。

所感

福知山市における「敬老乗車券事業」と「高齢者運転免許証自主返納支援事業」は密接にかかわっており、高齢者等の移動手段の確保に資するものである。

敬老乗車券事業を始めた背景には、路線バスの利用減少及びそれに伴って増加した市補助金があり、財政負担の改善を図るためものでもあった。

事業実績として、販売冊数や購入者数は微増傾向で、購入された乗車券の8割以上が使用されるという高い利用率が挙げられ、これまでバスの利用機会がなかった人や利用頻度が少なかった人の利用増加につながり、公共交通機関の利用促進と高齢者の外出支援の拡大につながっている。

また、路線バスに対する補助金も事業実施時と比較して2,000万円程度削減されている。削減額全てが敬老乗車券事業によるものではないと考えるが、効果的な事業であると思われる。

しかし、利用者の負担割合が少なく購入できることはインパクトがあるものの、市の負担が大きすぎると事業継続が難しくなるため、事業効果から適切な負担割合の算出が必要である。

また、福知山市において、敬老乗車券が購入できる対象者は1万人程度とのことであるが、購入者は1,500人程度に留まっており、広報周知に課題があると感じた。

次に、高齢者運転免許証自主返納支援事業について、福知山警察署管内においても75歳以上の高齢者が運転当事者となる人身事故が年々増加していることから、運転免許証自主返納者に返納特典を付与することで返納促進を図られている。

この事業は、総合計画・交通安全計画・地域公共交通網形成計画にも位置づけられており、福知山市において重要な施策であることが伺えた。

さらには、他の類似事業に見られるような自主返納のきっかけづくりだけでなく、自主返納後も継続的な支援を受けられる制度となっていることや、協賛企業を募集して、見る買う食べる泊まるの各種サービスを受けられることが福知山市の事業の特徴であった。

唐津市においても、路線バスの利用減少や、運転免許証自主返納に対する支援は課題となっており、2つの事業ともに交通弱者対策には効果的な施策であると感じた。

特に、各種施策を連携させて市民への支援を行われていることや、移動費用の負担を日常の経済活動で緩和するといった、交通弱者と民間事業者が相互に利益を享受できるシステムについては非常に参考となったところである。

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説明を受ける様子

福知山市議会議場

 

(2)視察項目:配車サービス「ささえ合い交通」について察先:京都府京丹後市

概要

京丹後市は、京都府の最北部に位置しており、平成16年4月に6つの町が合併し、面積501.85平方キロメートルを有する市制として誕生した。海岸線は国立公園・国定公園に指定され豊かな自然環境を持ち、海産物・米・地酒などさまざまな資源に溢れ、また、多くの遺跡が確認されており、海外との交易で栄えた繁栄の軌跡と歴史ロマンが色濃く残されているなど、唐津市との類似点が多い。

市内の公共交通手段は京丹後鉄道と路線バスであったが、合併時は約6万6千人だった人口が減少したことで、当初から「空気しか運んでいない」と言われていた路線バスの利用者は更に減り、それに伴う減便などでの利便性の低下、更なる利用者減少、雪だるま式に増える市の財政支援という悪循環が問題視されていた。

そこで、多くの市民に乗って喜んでいただくことにより、住民福祉の増進を図りつつ財政支出を抑えるため、最大1,150円であった運賃を上限200円とする取り組みが行われた。

その結果、乗客数2.3倍、運賃収入が1.3倍、市の補助金額については、実施前に比べ1,200万円削減されたところである。

ただし、路線バスは主に幹線道路を通るため、周辺部の交通手段が課題となっていたところ、京丹後市北部の丹後町・久美浜町・網野町の民間タクシーが相次いで撤退したことにより、タクシー空白地の移動手段の確保が問題となった。

検討の結果、久美浜町及び網野町では、EV乗合タクシーが運行され、丹後町ではNPO法人による市営デマンドバスが運行されたが、デマンドバスは前日までの予約が必要など利用に課題が多かった。

そのため、丹後町ではデマンドバスと平行して、道路運送法に基づく公共交通空白地有償運送「ささえ合い交通」がNPO法人「気張る!ふるさと丹後町」により年中無休で実施されている。

公共交通空白地有償運送とは、バス・タクシー等が運行されていない過疎地域等において、住民の日常生活における移動手段を確保するため、NPO法人等がその会員等を自家用車を用いて有償で運送する仕組みである。

ささえ合い交通は、地元のボランティアドライバー18名が登録されており、その方々の自家用車を活用しているとのことである。

ささえ合い交通の特徴は、移動したい人がスマートフォンアプリ「Uber」を使って即時配車依頼ができることであり、このことはICTを活用した公共交通空白地有償運送の全国初の取組みとなっている。

Uberのシステムを活用することで、配車依頼して到着するまでおおよその時間も分かるようになっているほか、移動距離や利用金額の算定、クレジット決済まで可能となっている。

京丹後市においては、これら各種の公共交通の活用促進を図るため、上限200円バスの時刻表やささえ合い交通・EV乗合タクシーなどの利用方法を一冊にまとめた「公共交通ガイドブック」を作成し、全戸に配布されているとの事である。

所感

京丹後市における公共交通の取組みは大変参考となるものが多かった。

上限200円の路線バスについては、「700円×2人ではなく、7人×200円」という発想の転換から実施されていた。

運賃収入の低下を懸念する運行事業者から反対との声が上がったとのことであるが、協議を重ねたことで事業者の同意を得ることができ、実施につながったとの事である。

実施にあたっては、住民アンケートの結果を元にした料金設定や、財政負担の試算を行った上での実証実験、また、実証を踏まえたうえで本格導入を実施するなど、PDCAサイクルが行われていたことが成功につながったものと評価できる。

この取組みの成功の裏には、行政と交通事業者のパイプ役として専門職的な職員が配置されており、合併以降、交通対策に継続して従事されたことが交通事業者の信頼につながったとのことである。

唐津市における今後のバス路線の見直しについても、こうした事例を参考に本委員会においても協議したい。

また、「ささえ合い交通」のような自家用有償旅客運送を行うための前提として、公共交通空白地であることや、地域交通会議などで交通事業者の同意を得る必要があるなど、地域によってはハードルが高いと思われる。

特に、公共交通空白地有償運送を行うには、実施主体やボランティアドライバーが必要であるとともに、厳格な運行管理が義務付けられる。

ボランティアドライバーは、毎朝体調管理などのチェックを受ける必要がある上、配車依頼に即時対応するためには時間も拘束される。

しかし、これらの課題に対応できれば、自家用車を活用することでの初期費用が抑えられ、利用料金も安価で実施できることとなる。

ささえ合い交通を実施するための初期費用は約300万円ということであったが、地域づくり関連の市補助金(補助限度額200万円)を活用することで負担軽減を図っただけで、運営に係る補助は行われていないということである。

公共交通空白地有償運送では、原則として走行距離に応じた利用料金制となっているが、運送の対価は当該地域におけるタクシーの上限運賃の2分の1程度と定められている。

制度上、運行地域のみでしか乗車できないため、域外で降車した場合に帰りの交通手段の確保が必要となるなどの制限はあるものの、地域内の安価な移動手段として、過疎地域などでは広がっていくものと考えられる。

京丹後市における利用実績を確認したところ、Uber社から全ての情報が開示されないとの事で、月60回以上の利用があることのみ返答された。

Uberはスマートフォンアプリであるため、スマートフォンやタブレット端末を使えないと利用できない。

NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」では、難しくて使えないという要望に対し、代理で予約などを行う代理サポーター制度の導入や、クレジットカードがない利用者のために現金払いを導入するなど、制度の改善が図られていた。

現状の唐津市においては、公共交通空白地有償運送をすぐに導入することは難しいと思われるが、今後、交通弱者が増加すると見込まれており、その対策全てを行政の支援だけで行うことは不可能である。

交通弱者対策は地域課題でもあるため、交通弱者の解消に向けた地域での対策や取組みについても協議していきたい。

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説明を受ける様子

京丹後市丹後庁舎前

 

問い合わせ

議会事務局 

佐賀県唐津市西城内1番1号

電話番号:0955-72-9162