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更新日:2015年3月1日

移住者体験談>府川和泉さん

唐津の山里に移り住んで18年、
自然の中で唐津焼と向き合う女性作家

  • 府川和泉(ふかわいづみ)さん
    陶芸家/唐津市七山在住

東京でのOL生活から一転、焼き物の道を志す

府川さん

府川和泉さんが工房を構えている場所は唐津市七山地区の山あい。ひと昔前は「信号機がない村」として知られたのどかな山村だ(※現在は1基)。直売所や温泉施設があるので週末は都市部からの観光客でにぎわうエリアだが、平日は中心部でさえ人通りは少ない。
そんな静かな村のさらに奥、カーブの続く山道を登った一角に、府川さんが家を建て、窯を開いたのは今から18年前のこと。唐津焼の世界では珍しい、女性作家としての独立だった。
府川さんの生まれは富山県。両親の転勤にともなって各地を転々とした後、東京の美術短大で油絵を学び、卒業後3年間は会社勤めをした。しかし好きな絵で身を立てたいと思い、会社を辞めて絵を描きはじめたものの、なかなか思うような絵が描けない。悩んでいた時期に出会ったのが焼き物の世界だった。
そこでまずは東京の工房に弟子入りし、窯や薪や土を作りながら各地・各時代の焼き物に触れるうちに、魅(ひ)かれていったのが唐津焼だったという。

3年の修行の後、独立の地に選んだ七山の山中

家から見える風景

「とりあえず唐津に行ってみよう」そう思った府川さんは唐津に来て、いろいろな窯元をまわってみた。その中で出会った一軒の窯元に、自分の求めていたものを見いだした府川さんは、「弟子はとらない」と言われたにもかかわらず、頼み込んで弟子入りを果たす。
そこで3年間の修行の後、独立を志して窯を開く場所を探したが、見知らぬ土地で、しかも女性の陶芸家は珍しいためか、なかなか相手にしてもらえない。困っていた時に七山の知人が今の場所を紹介してくれて、なんとか購入することができたそうだ。
成り行きのような形で住むことになった辺ぴな土地だが、静かで陶芸に打ち込める環境が府川さんはとても気に入っているという。
「私には天国ですね。ここの太陽と月と空気と草木があればそれで十分。作陶をする上で欠かせないものを、知らないうちに自然からたくさんもらっている気がしています。18年住んで本当に良かったなと思いますね。」と府川さん。
人づきあいがやや苦手だという府川さんにとって、普段は放っておいてくれて、困った時は親身になってくれる村の雰囲気も居心地が良かったようだ。
人それぞれに「気が合う」場所というものがある。大半の人は不便に感じる土地でも、府川さんにとっては十分に便利で、創作に必要なエネルギーを満たしてくれる素晴らしい場所だった。

土との対話から生まれる、素朴で暖かい唐津焼

抹茶とお茶菓子の写真

「唐津焼の魅力はやはり土ですね」と語る府川さん。作陶の時も最初から形を決めることは少なく、無心に土をこね、土と話しているうちに自然に形が出来上がっていくという。
窯も電気やガスでなく薪で焚く登り窯を使っている。薪を運んだり、徹夜で火の番をするなど大変な作業が伴うが、「私はそれほど量をこなすタイプではないし、やはり焼いた時の色の変化や味わいが面白いからやめられません」と微笑む。
府川さんが作る焼き物は生活食器が中心。土は地元唐津の土、釉薬は自分で作ったものや窯でマツを焚いた灰を使い、自然の中から生まれてくる景色を楽しんでいる。その味わいは素朴で優しいが、そこはかとない品の良さや「風格」が感じられる。やはり焼き物というのは作者の人柄や人生が出てくるようだ。
「素朴さとか田舎臭さとかが私と合うのかな」と笑う表情からは、気負いや野心のようなものが全く感じられず、ひたすら自然でおおらかな人柄が伝わってくる。「要らないものを無くして、自分の真ん中から出て来るものを素直に出せるようにしたい。」と話す府川さん。飾らない人柄と素朴な焼き物に触れ、心が洗われたような気がしたひと時だった。

インフォメーション

  • 府川さんの工房・お店

    • 「陶ぼう空(そら)」

      • 住所…唐津市七山馬川851
      • 電話…0955-58-3143

※作陶中や不在もあるので、来店ご希望の方は事前に電話をお願いします。

焼き物が陳列されている様子その1

焼き物が陳列されている様子その2

府川さんの写真

問い合わせ

企画政策課 

佐賀県唐津市西城内1番1号

電話番号:0955-72-9115