ホーム > 市政情報 > 唐津市議会 > 議員紹介 > 常任委員会 > 市民厚生委員会行政視察報告書(令和元年度)

ここから本文です。

更新日:2021年3月2日

市民厚生委員会行政視察報告書(令和元年度)

1参加委員

青木茂(5期)委員長、吉村慎一郎副委員長

原雄一郎委員、古藤宏治委員、林正樹委員、伊藤泰彦委員、熊本大成委員

2視察日

令和元年7月30日(火曜日)から31日(水曜日)まで

3視察概要・所感

(1)視察項目:生ごみ回収モニター事業(CO2CO2マイレージ)について視察先:鹿児島県日置市

概要

平成17年に4町の合併により誕生した日置市においても多くの地方都市同様、人口減少が進行している。歯止めのきかない人口減少に対して増え続ける廃棄物の減量と廃棄物処理費用の削減、地球温暖化の原因とされるCO2の削減を目的に市民と行政が一丸となり取り組む生ごみリサイクル事業が、この「生ごみ回収モニター事業」である。
市内700か所のごみステーションに生ごみ回収専用容器を設置し、24時間いつでも捨てることが可能で、週に2回燃やせるごみの日に回収されている。
回収された生ごみに対し1kgあたり10円の地域活性化奨励金【CO2CO2(コツコツ)マイレージ】(上限5万円)が自治会へ支給されている。なお、その使途は各自治会の自由で、平成30年度は129自治会に対し、総額476万4,440円が支給された。
平成24年度に始まったこの事業は、当初50世帯であった参加世帯数が、新聞やテレビに取り上げられたことなどにより急速に増加し、平成30年度には1万482世帯となり、生ごみの回収量も平成30年度には約925トンまで増加した。それに伴い、廃棄物の量が平成29年度と比べ1,227トン減少し、約3,300万円の経費削減と約320トンのCO2削減につながっている。
回収された生ごみは、委託業者により堆肥化され、生ごみ再生堆肥「よかんど」として、現在は無料で配布されているが、今後はブランド堆肥として商品化を検討されている。

所感

この事業に取り組むにあたっては、生ごみだけを分別して専用容器に捨てなければならず、一見して各家庭での手間がかかる印象を受けたが、実際に取り組まれている方の映像を見ると、「家の中の生ごみをいつでも捨てることができて助かる」、「燃やせるごみの量が半分以下になり、ごみ袋の使用量が減った(=ごみ袋の購入量が減った)」、「専用の回収容器に捨てることで生ごみを袋に入れて捨てることがなくなり、ごみステーションが動物に荒らされなくなった」など好意的な意見が多く、また参加世帯数が年々増加していることからも市民への理解がしっかり浸透している事業であると感じた。
また、生ごみの分別は決して強制的なものではなく、「燃やせるごみに出してもいい」という柔軟な姿勢により市民の利便性を高めていることが、広く市民に受け入れられた要因であると考える。
一方で、生ごみと燃やせるごみをそれぞれ回収する二重体制は、市民にとってのメリットは大きいものの、行政側としては回収委託料などの財政負担が増加しているようである。いかにコストを減らし、事業を継続していくかが課題であると思われる。
生ごみの回収量に応じて支給される地域活性化奨励金【CO2CO2(コツコツ)マイレージ】はこの事業の大きな特長であるが、自治会で自由に使える財源を得ることができるのはもちろん、自治会からは地域住民同士の繋がりがより強くなったとの感想も出ていることから、地域内の関係性が希薄化しているといわれる現代において、廃棄物削減と地域活性化を同時に達成し得ることがこの事業の特筆すべき点である。
さらには、事業開始以降、廃棄物やCO2の削減という所期の成果をおさめつつ、生ごみ処理に係る雇用創出をはじめ、処理作業における竹チップの使用は放置竹林の景観美化や山林保全に寄与するなど、多方面でさまざまな好影響が出ているとのことである。
この事業を提案した日置市職員の「ごみは宝の山」というフレーズが印象的であったが、廃棄物削減に取り組むことで複合的な効果が得られていることを鑑みれば、唐津市としても是非とも参考にするべき先進事例である。

hioki2
説明を受ける様子

hioki1
日置市役所前

(2)視察項目:健幸のまちづくり推進事業について視察先:鹿児島県指宿市

概要

人口41,831人に対し高齢者14,698人、高齢化率35.2%(平成27年国勢調査)と高齢化が進行している指宿市では、後期高齢者医療費の増加により財政が圧迫されていることなどを背景に、健康づくりの重要性を啓発するとともに市民の自主的な健康づくりへの取り組みを推進し、併せて健康寿命を延ばし医療費の適正化を図ることを目的とした「健幸のまちづくり推進事業」が平成25年度から行われている。
主な施策としては、「健幸マイレージ」、「健幸ポイントプロジェクト」、「ころばん体操」、「健幸のまちづくり地域環境整備事業」などがある。
健幸マイレージと健幸ポイントプロジェクトは、市民の運動意欲の喚起および運動の習慣化を図ることを目的とした施策で、いずれも運動を行いさまざまな条件を満たすとポイントが付与され、ポイントを貯めることで地域商品券などの商品と交換することができる。
健幸マイレージの総応募口数は、平成25年度の24,039口に対し、平成30年度は28,668口となっており、6年間で約20%の増となっている。また、平成27年度に始まった健幸ポイントプロジェクトについては、当初250人だった参加者が755人と毎年度増加傾向にあり、加入者のほとんどが運動無関心層(=1日あたり8,000歩以上を満たしていない者)である。
介護予防を目的に足腰の筋力アップを中心とした内容のころばん体操は、従来の運動教室とは異なり、初期5回の指導後は参加者が自分たちだけで体操を継続していく住民主体型の運動教室である。平成30年11月末までに153地区が実施され、指宿市内全体地区数の83%となっている。
健幸のまちづくり地域環境整備事業は、地域による運動場(グラウンド・ゴルフ場、パークゴルフ場など)やウォーキングロードの整備に対し補助を行うもので、運動をする際に最も利用しやすい場所と感じる要因が運動をする場所が“いかに自宅に近いか”ということであると判明したことから始められた施策である。地区で毎週1回ころばん体操を実施することを条件に1地区あたり30万円が補助され、平成25年度から平成29年度の5年間で21地区に対し総額1,337万5千円が支出されている。

所感

健康づくりのための運動を広く推奨していくためには、運動意欲が無い人をどう取り込んでいくかが重要であり、指宿市においては、その動機づけとして健幸マイレージと健幸ポイントプロジェクトが行われている。健康づくり以外のきっかけであっても、まずは運動を始めてもらうことが肝要で、健幸ポイントプロジェクトにおける平成29年度加入者(279人)のうち、94.6%が運動無関心層であることからみても、十分な効果が得られていると考える。
指宿市内で行われた運動イベントなどの参加者アンケート結果によると、「運動・スポーツを継続するためには仲間が必要だと思う」と回答した参加者の割合が多かったことから、参加者間同士の交流は、運動・スポーツの習慣化に非常に効果があるとのことであるが、ころばん体操など住民主体かつ地域に密着した取り組みは、運動を継続していくうえでも大変有効であり、また、地域コミュニティの活性化という側面も持ち合わせていると考える。
指宿市における各施策の成果として、医療費の総額は平成27年度の62億300万円をピークに減少し、平成29年度には55億5,800万円となっている。このように着実に成果を上げているのは、「健康づくり=社会貢献」と捉えることにより、市民と行政が一体となって取り組むことでできている証拠である。
唐津市においても、健康的な生活の習慣づけによる健康寿命の延伸を図ることを目的として、健康に関するイベントへの参加や特定健診等の受診に対しマイルを付与する健康マイレージ事業を平成30年度より行っている。まだ始まったばかりのこの事業をより発展させていくため、指宿市の施策は今後、積極的に調査・研究を重ねていくべき先進事例である。

ibusuki1
説明を受ける様子

ibusuki2
ふれあいプラザなのはな館

問い合わせ

議会事務局 

〒847-8511 佐賀県唐津市西城内1番1号

電話番号:0955-72-9162