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更新日:2024年3月4日

「落日(漁村)」(らくじつぎょそん)

熊川昭典「落日(漁村)」
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熊川昭典(くまがわあきのり)昭和5年~平成12年(1930-2000)

昭和50年(1975)油彩・カンヴァス116.7×90.0センチ

漁村の一日の終わり。暗くなり始めた山々を背景に、停泊する漁船の群れが薄闇に沈んでいきます。太陽はとろりと雫(しずく)をしたたらせ、夕焼けに溶けていくかのよう。濃い黄色に染めあげられた落日の情景は、かすかな波音や漂う潮の香を想起させます。

長崎市に生まれた熊川は、小学4年生からの約10年間を唐津で過ごしました。この頃油絵に魅せられ、上京後に本格的に絵を学び始めます。初期にはピカソやブラックの影響を受け、抽象絵画に傾倒。その後、幻想的な色合いを帯びた蝶や月、街を主題とする作品群が続きます。模索の期間を経て、ヨーロッパ留学をきっかけにやわらかな色彩による具象表現へと移り、静かさをたたえた心象世界を確立。独特の黄色を基調に漁船やヨット、海景を多く手がけました。唐津を故郷として愛し、たびたび帰唐。海に対する憧れが強く、水辺の情景を繰り返し描いた熊川が原風景として抱き続け、「心の中にある海」と呼んだのが唐津の海でした。

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