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更新日:2024年3月4日
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昭和63年(1988)油彩・カンヴァス181.8×227.3センチ
はるか天空に浮かぶ月が夜の砂漠に光を落とし、湖面をきらめかせています。青い世界のなか、水面に大きく伸びる鮮やかな黄色。日常を超えた幻想的な情景です。森が30年にわたり描き続けた砂漠シリーズの一作。「鹹湖」とは、塩分を含んだ湖(塩湖)のことです。
少年時代を唐津で過ごした森は、中学時代にゴッホに魅せられました。戦争でいろいろなものが焼けたり壊されたりしてなくなっていくのを目にし、なくならないものを作りたい、残したいと願い、画家を志します。終戦後に坂本繁二郎に師事、作品とともにその生き方に深く影響を受けました。独立展に出品を続け、昭和37年(1962)に独立賞・30周年記念賞を受賞。題材は風景・静物から太古に想を得たものやカニの連作に移り、やがて寓意性を帯びた人間シリーズへと発展。そして、昭和47年(1972)の北アフリカ・ヨーロッパへの旅をきっかけに、ライフワークとなる砂漠シリーズが始まりました。砂漠に心惹かれ繰り返し描くうちに、広大な地平線が少年の頃に毎朝毎晩見ていた水平線と重なっていることに気づいたのだと、森はのちに語っています。
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