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更新日:2023年4月26日
こんにちは、水産業活性化支援センターの村山です。
唐津市では、平成24年度から九州大学と共同研究で、「新水産資源創出研究プロジェクト」に取り組んでいます。
このプロジェクトでは、水産業の活性化と地域の活性化を目指して、唐津市の相賀の水産業活性化支援センターで、マサバなどの完全養殖技術の開発、ケンサキイカの先端的研究、バイオ水産技術の開発を実施しています。
今回はマサバのプロジェクトが満5年を経過したことに合わせ、これまでの進ちょく状況を振り返ってみたいと思います。
平成24年4月から種苗生産技術開発を開始しましたが、当初は福岡県の福津市にある九州大学大学院生物資源環境科学府附属水産実験所で、技術開発を開始しました。
まずは天然の親を使用して、親魚の仕立て(採卵に適した状態に育てる技術)、採卵技術、仔魚~稚魚の飼育技術などの開発に取り組みました。
種苗生産尾数の推移
種苗生産技術の開発は平成24、25年度と実施し、両年度とも約12,000尾の種苗生産に成功しました。
平成26年度からは唐津市相賀に完成した当センターで技術開発を継続し、この年に完全養殖技術のサイクルが完成しました。平成26、27年度は前年、前々年の約2倍となる20,000尾以上の種苗生産に成功しました。
平成28年度には種苗の量産技術の開発に取り組み、この年に初めて約90,000尾を生産することができて量産化のめどがつきました。平成29年度はさらに技術の向上を図り、量産技術を確立したいと思っています。
完全養殖技術は種苗生産技術と養殖技術の両方の技術ができることで要件を満たします。
このため、平成24年度から種苗生産技術開発の中で生産された稚魚を使用して海上いけすでの養殖技術開発に取り組みました。
技術開発は市内の養殖漁家の方に実際に養殖をしていただき、定期的に成長や生残、餌による成長の差などのデータ収集を行いました。
当初はマサバの扱いにも慣れず、また、高水温や赤潮など環境条件による飼育管理の方法などもわからなかったため、成魚まで育てるのにずいぶん苦労をしましたが、平成26年度からは、少ないながらも販売可能になりました。
このため、平成27年度からは技術開発ではなく実際に販売目的で養殖を実施していただくことになり、養殖漁家の数も平成24年度には1漁家でしたが、種苗生産尾数の増加に伴い現在は6漁家になっています。
今後はこの6漁家の養殖技術の向上はもちろんですが、養殖サバの品質の向上および均一化が最も重要になります。このため、この6漁家でグループを結成していただき、毎月会合を開いて餌の種類や給餌方法の統一化、天然の小さいマサバが入らないようないけす網の網目の統一など、養殖管理の方法を統一して高品質で均質な養殖マサバの生産に取り組むこととしています。
マサバのプロジェクトの大きな目的は、完全養殖マサバを呼子のイカに次ぐ食の観光の目玉として育てることにより、漁業者の収入の向上、安定化を図ることと、観光客の増加による地域の活性化を目指すこととしています。
このため、完全養殖マサバのブランド化はプロジェクトの大きな課題の一つです。
マサバの販売数は平成26年販売シーズン(平成26年9月~27年6月)の約3,000尾から、翌シーズンは約6,000尾、今シーズンはまだ途中ですが約10,000尾を見込んでいます。また、来シーズンに向けては約90,000尾の稚魚を育てていることから、大幅な出荷尾数の増加を見込んでいるところです。
このような中、ブランド化を進めるための一つのカギとなる名前が平成28年6月に「唐津Qサバ」として決定し、今シーズンからは唐津Qサバとして流通しているところです。
また各地での試食会やイベントへの出展を積極的に行い、市民や佐賀、福岡県内の皆様へのPRに努めています。
さらに、テレビやラジオ、情報誌など九州管内や関東、関西など多くのメディアに取り上げていただきましたので、市内外の多くの方に知っていただくことができました。
このように唐津Qサバの名前はある程度知られるようになり、お店で使ってみたいと言ってくださる料理店などの問い合わせも増えてきましたが、出荷できるマサバの数が少ないため十分に対応できずご迷惑をおかけしている状況です。
しかし、来期(平成29年9月~30年6月)は販売数の大幅な増加を見込んでいますので、これらの問い合わせにも十分対応できるものと考えており、さらなる知名度の向上を図りブランド魚として定着できるよう努めたいと思っています。
以上、これまでの完全養殖マサバのプロジェクトの取り組みをご紹介しました。
今後とも種苗生産・量産技術の高度化、さらなる量産を目指した体制の強化および養殖では技術の高度化、品質の向上・均質化、養殖管理体制の強化、さらに販売面ではこれまでの市内、県内、福岡県内主体の出荷から関東、関西、中国方面、あるいは将来的には輸出も視野に入れて、唐津QサバのPRやブランド定着に向けた取り組みにも力を入れていきたいと思いますので、皆さんのこれまで以上のお力添えをお願いいただければ幸いです。
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