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更新日:2023年2月13日
こんにちは。唐津市水産業活性化支援センターの村山です。
唐津市では、平成24年度から九州大学と共同研究で、「新水産資源創出研究プロジェクト」に取り組んでいます。このプロジェクトでは、水産業の活性化と地域の活性化を目指して、唐津市の相賀にある唐津市水産業活性化支援センターで、マサバなどの完全養殖技術の開発、ケンサキイカの先端的研究、バイオ水産技術の開発を実施しています。
今回は、新たにマックスバリュでのマサバ販売の紹介と、前回お知らせした北野先生の頭足類の国際学会CephalopodInternationalAdvisoryCouncil2015(セファラパッド・インターナショナル・アドバイザリー・カウンシル2015)での発表概要について紹介します。
マックスバリュ和多田店
マックスバリュ巨勢店
マックスバリュの主な販売店舗は唐津市の和多田店と、佐賀市の巨勢(こせ)店で、平成27年12月5日から販売を始めました。
握り寿司
1匹売り
アラ
主力商品は握り寿司ですが、1匹売りもあります。また、マックスバリュでは魚をさばいた後のアラもきれいに調理、包装して、無駄なく利用しています。
握り寿司の値段は1トレイ4貫入り580円と2貫入り298円(どちらも税別)で、お手頃価格に設定しています。
12月号で紹介しましたが、当センターには3人の九州大学の先生が常駐し、研究を行っています。そのうちの1人の北野先生が、平成27年11月6日から14日の期間に函館市で開催された「CIAC2015」という国際学会に参加しました。CIACとは、CephalopodInternationalAdvisoryCouncilの頭文字をとった略称で、日本語にすると「国際頭足類諮問委員会(こくさいとうそくるいしもんいいんかい)」になります。
本学会では、日本を含めて30か国から総勢243人の頭足類(タコやイカなど)研究者が集まり、各々が行っている成果を発表して活発な議論が行われました。
研究分野は多岐にわたり、タコやイカの知能や行動を調べる研究、成長や繁殖の生理メカニズムを調べる研究、生息場所や生息数を調べる研究、進化の過程を調べる研究、食品としての販売や流通の研究などがありました。
私は、ケンサキイカの配偶子形成を調節する内分泌機構の解明を目的とした研究の成果を発表しました。
簡単に言うと、「イカが卵や精子を作るために、体の中ではどのようなホルモンが働いているか」を調べる研究です。
みなさんは女性ホルモン(エストロゲン)や男性ホルモン(アンドロゲン)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。私たち人間や、養殖が盛んに行われている魚類などでは、これらに代表されるさまざまなホルモンが卵や精子を作るために必要であることが知られています。
一方で、タコ・イカ類では、卵や精子を作るために働くホルモンが何一つとして明らかにはなっていないのです。最近、その候補の一つとして「生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン」というホルモンがケンサキイカで発見されました。本学会では、このホルモンが体の中のどこで作られ、どこに作用するかを調べた成果を発表し、ケンサキイカ以外の種で同じようなホルモンを発見しようとしている生理学研究者や、天然海域での産卵場所を調査している生態学研究者にも興味を持っていただきました。また、一連の発表を通じて「イカのまち唐津」の宣伝にもなったのではないかと思っています。(呼子の遊覧船「イカ丸」の写真が人気でした。)
ケンサキイカが卵や精子を作るために必要なホルモンの特定には今後も一層の研究が必要ですが、CIAC2015に参加して他の研究者と情報交換を行うことができたことは、自分自身にとって大きなモチベーションになりました。
発表会場である函館国際ホテル
世界各国から頭足類研究者が集まりました。
ワークショップの様子
繁殖生理研究に関する議論が行われました。
ChangesinthemRNAexpressionofgonadotropin-releasinghormoneanditsreceptorduringsexualmaturationoftheswordtipsquidUroteuthisedulis(ケンサキイカの性成熟における生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンと受容体のmRNA発現変化)
Whatweknowaboutgonadotropin-releasinghormoneinthereproductiveaxisofcephalopods(頭足類の生殖軸における生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン研究の現状)
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