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椿とロマンの島・加唐島を訪れてー犬を飼ってはいけなくなった歴史背景と、島おこしの現状ー(令和8年7月11日、くさば)

ページID:0050052 更新日:2026年7月23日更新 印刷ページ表示

椿とロマンの島・加唐島を訪れてー犬を飼ってはいけなくなった歴史背景と、島おこしの現状

佐賀県唐津市の有人離島・加唐島(かからしま)は佐賀県の最北端に位置し、古代から朝鮮半島との海上交流を担ってきた歴史を持つ島である。「日本書紀」には「各羅島」と記され、古代の航路における要衝として重要な役割を果たしてき た。現在(令和8年7月)の人口は97人で、学校には島留学の児童生徒を含め小学生5人、中学生3人が学んでいる。名産は、伝統製法による塩や、椿から採れる椿油を活用したコスメ製品であり、自然と文化が結びついた特産品として知られている。

呼子港から船「かから丸」(1日4往復)で約20分。短い航路ながら、港を離れるにつれ日常の喧騒が遠ざかり、 離島へ向かう静かな心持ちが整っていく。

かから丸
かから丸

島の北側では雄大な海が広がり、水平線の弧が地球の丸さを感じさせる。晴天時には壱岐の島影が遠望でき、灯台とユウスゲの花が自生する景観は、古代の海上交通の歴史を想起させる。

ユウスゲの花と最北端景色
ユウスゲの花と最北端景色

百済の武寧王誕生の地

島を覆う約4万5千本の椿の群生は自然環境の象徴であり、これからの季節は椿油の原料となる種の収穫期を迎える。 南側のオビヤ浦には、百済(くだら)の武寧王(ぶねいおう)が生誕したという伝承が残る。武寧王の母一行が古墳時代の都へ向かう航路の途中で産気づき、加唐島に立ち寄ったとされる逸話は、韓国との交流が現在まで続く文化的背景となっている。

百済の武寧王
武寧王生誕の地

「犬を飼ってはならない」という言い伝え

島内を歩くと、日なたで体を伸ばす猫の姿が目に入る。猫は人と適度な距離を保ちながら生活し、島の穏やかな空気を象徴している。

猫画像
日向(ひなた)猫

一方で、散歩中の犬を見かけることはない。島には「犬を飼ってはならない」という古い言い伝えがあり、八坂神社にまつわる「お供え物を食べた」「神職を噛んだ」「社殿で排泄した」「狛犬と喧嘩した」 など複数の説が残るが、いずれも確定的ではない。伝承が生活文化として長く受け継がれてきたことがうかがえ る。

八坂神社入口の狛犬
八坂神社の狛犬

しかし、この文化は現代の課題とも結びつく。2000年頃、本土から海を泳いで渡ったイノシシが島に定着し、繁殖した結果、畑への被害が深刻化している。島民からは「犬がいれば追い払えるが、飼えないため難しい」との声もある。島内には捕獲用の罠箱が設置され、畑には囲いが作られるなど対策が進む。

また、島には大規模な水源がなく、渇水時には生活用水の確保が困難である。 そのほか、人口減少と高齢化に伴う空き家の増加、商店がなく週1回本土へ買い物に行く必要があることも課題となっている。

島を盛り上がる動き

それでも、島を盛り上げようとする動きは確かに存在する。
中心部の「Selfish(セルフィッシュ) 加唐島Café」 は、スタッフの弟さんが福岡から離島留学に来られた縁で、島のために何か出来る事があればとの思いもあり、 食を通じて島の魅力を発信する拠点として活動されている。食材の魚や島野菜はその日その日で変わる。訪問時に食したカワハギのフライ、ズッキーニの椿油ソテー、シソの香りが調和したフィッシュバーガーは唯一無二の味わいで、海を眺めながら飲むコーヒーは、島時間の豊かさを体感させてくれる。

カフェのバーガー
カフェのバーガー

加唐島は、古代の歴史、独自の生活文化、そして静けさを保つ自然環境が重なり合う個性豊かな島である。伝承と現代の課題、そして新たな挑戦が共存するこの島は、椿とロマンの香りをまといながら、今も静かに息づいている。

椿園写真
椿の群生

 

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ライター:くさばさん


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