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更新日:2023年11月27日

玄海原子力発電所対策特別委員会行政視察報告書(令和5年10月19日~20日)

1参加委員

  • 青木茂委員長
  • 水上勝義委員
  • 大宮路美奈子委員
  • 伊藤一之委員
  • 原雄一郎委員
  • 古藤宏治委員
  • 江里孝男委員
  • 中村健一委員
  • 伊藤泰彦委員
  • 浦田関夫委員
  • 吉村慎一郎委員
  • 楢﨑三千夫委員
  • 中川幸次委員

2察日

令和5年10月19日(木曜日)、10月20日(金曜日)

3 視察概要・所感

視察項目1:九州電力株式会社川内原子力発電所について(鹿児島県薩摩川内市)

概要

川内原子力発電所は、鹿児島県薩摩川内市に立地し、145万平方メートルの敷地を有し、1号機は昭和59年、2号機は昭和60年に運転を開始している。東日本大震災以降、約4年間の停止期間を経て、1号機が平成27年8月14日に、2号機が平成27年10月21日に発電を再開し、新規制基準に基づき初めて再稼動した原子力発電所である。

川内原子力発電所の安全対策の実施状況、特定重大事故等対処施設、更なる安全性・信頼性向上への取組みについての説明を受け、その後、構内の緊急用保管エリア、緊急時対策棟(指揮所)、大容量空冷式発電機、屋外タンク竜巻対策、取水口及び海水ポンプエリア防水対策、放水口などを確認し、地震や津波、竜巻などさまざまな災害のケースを想定した対策が講じられていた。

所感

本年5月、本委員会は玄海原子力発電所の安全対策ならびに廃炉状況などについて、概要説明ならびに現地視察を実施し、現状の確認を行った。今回の視察では、同じ九州管内での原子力発電所として、対策内容の比較などを行うもので、玄海原子力発電所とは活断層の状況など周辺環境の違いはあるものの、安全対策などについては、同等の対策が講じられていた。

川内原子力発電所では更なる安全性・信頼性向上への取組みとして、「1.緊急時対策棟(指揮所)の設置」、「2.廃棄物搬出設備の設置」、「3.受電系統の変更」が進められており、地震や津波などの自然災害だけでなく、さまざまなケースを想定した安全対策が講じられていた。また、川内原子力発電所では、勤務時間外や休日(夜間)でも、重大事故等に迅速かつ確実に対応できる体制(一斑52名および特重施設要員を13班編成)を整備し、班ごとに継続的な訓練および力量管理が行われるなど、緊急時の人員確保の体制も整っていた。

2012年に発電所周辺地域の交通渋滞緩和・交通安全対策の措置に係る要請を受け、う回道路建設工事が進められ、「1.発電所周辺の地域住民の交通安全の確保と原子力発電所の運用性向上」、「2.原子力発電所の防護対策の強化」、「3.避難道路の充実」を目的に整備が行われている。開通すれば発電所に近づかずに避難することが可能で、新たな住民避難ルートが確保できるとのことであった。

九州電力は、新規性基準に基づく安全対策に対する経験を蓄積しており、今後も十分な安全対策が図られるよう本特別委員会においても、今後の動きに注視していく必要があると感じた。

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川内原子力発電所 展示館(発電所構内視察前の概要説明を受ける様子)

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緊急時対策棟(指揮所)

 

 

視察項目2:原子力災害対策について(鹿児島県阿久根市)

概要

阿久根市は、人口約1万8千人、川内原子力発電所を有する薩摩川内市の北側に位置しており、PAZ圏内には含まれておらず、市内ほぼ全域がUPZ圏内に含まれている。

原子力災害対策重点区域について、国では新たにおおむね半径5kmをPAZ、おおむね半径30kmをUPZという基準を導入し、阿久根市では地理的状況を踏まえ、UPZを川内原子力発電所からおおむね半径30km圏内とし、一部30kmを超えた地域を含め、市内全域を対象とされていた。

安全協定については、平成24年12月に30km圏内の6市町(鹿児島市、出水市、日置市、姶良市、さつま町、長島町)が締結したが、阿久根市といちき串木野市においては、当初から「立地自治体並みの協定」を求めてきたことから、協定項目の調整に時間を要し、平成25年3月に締結したとのことであった。

住民避難計画の具体策について、住民に対し周知を行うため、原子力防災ガイドブックを作成されている。避難経路については、広域の地図と合わせ、交差点や分かりにくい箇所、避難施設の写真が掲載されるなど、避難する住民の目線に立って作成されていた。また、鹿児島県が原子力災害時住民避難支援・円滑化システムを集約した「原子力防災アプリ」を令和4年4月から運用している。アプリでは、自治体からの避難に関するお知らせや避難経路の検索などが出来るようになっているが、まだまだ利用者は少ないとのことであった。

所感

阿久根市の原子力防災ガイドブックは、避難先施設の写真や付近の地図だけではなく、集合場所から避難施設までの経路が詳しく掲載され、避難する住民の立場で作成されており、見やすく・分かりやすい工夫がなされていた。また、県境を越えた避難計画(熊本県芦北町・津奈木町)が策定されており、避難所施設利用に関する協定書も締結されていた。唐津市も同じような地理的な条件であるため、今後検討するべき事項の一つであると感じた。

また、市民の意識醸成に関しては、唐津市だけではなく、他自治体においても大きな課題となっていると改めて感じた。阿久根市においては、自主防災組織の組織率が70%を超えているが、なお一層の充実と位置づけ、意識づけに取り組んでいるとのことであった。唐津市としても、他自治体を参考にしながら、今後も市民に関心を持ってもらえるような取り組みを行っていくことが必要であると感じた。

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視察研修を受ける様子

問い合わせ

議会事務局 

〒847-8511 佐賀県唐津市西城内1番1号

電話番号:0955-72-9162