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更新日:2023年12月28日

玄海原子力発電所対策特別委員会行政視察報告書(令和5年10月26日~27日)

1参加委員

  • 山下壽次副委員長
  • 笹山茂成委員
  • 宮原辰海委員
  • 久保美樹委員
  • 岡部高広委員
  • 黒木初委員
  • 大西康之委員
  • 石﨑俊治委員
  • 進藤健介委員
  • 熊本大成委員
  • 宮本悦子委員
  • 白水敬一委員

2察日

令和5年10月26日(木曜日)、10月27日(金曜日)

3察概要・所感

視察項目1:東海発電所・東海第二発電所について(日本原子力発電(株)東海発電所・東海第二発電所(茨城県東海村))

概要

城県東海村は「原子力の発祥地」として、海外にもその名が知られている。日本原子力発電株式会社は、9つの電力会社と三菱・日立・東芝などの原子力産業の出資により、1957年(昭和32年)に原子力発電専業会社として設立され、東海発電所は日本初の商業用原子力発電所として、1966年(昭和41年)7月に営業運転が開始されて以来、約32年間にわたり順調に運転を続け、1998年(平成10年)3月にその役割を終了し、2001年(平成13年)12月から廃止措置に着手されている。この廃止措置は2030年(令和12年)まで約30年かけて実施される。

た、東海第二発電所は日本初の大型原子力発電所として、1978年(昭和53年)に営業運転を開始し、110万kwを発電し約37万世帯分の電力を供給している。

海発電所の廃止措置、使用済燃料乾式貯蔵設備の概要、東海第二発電所の安全対策の実施状況、特定重大事故等対処施設、更なる安全性・信頼性向上への説明を受け、その後、使用済燃料乾式貯蔵設備、常設代替高圧電源装置置場、緊急用海水ピット、防潮堤、L3埋設予定地などの構内視察を行った。

所感

年5月、本委員会は玄海原子力発電所の安全対策ならびに廃炉状況などについて、概要説明ならびに現地視察を実施し、現状の確認を行った。今回の視察では、国内で初めて廃炉作業を実施する発電所として、対策内容の比較などを行うもので、東海発電所の炉型については、黒鉛減速・炭酸ガス冷却型であり、玄海原子力発電所の加圧水型軽水炉型とは異なるため、解体撤去作業を行う手法、放射性廃棄物の数量、放射性物質の管理区域の違いがあることを伺った。

体で発生する廃棄物の処分については、放射能のレベルに応じた方法で処分されており、廃棄分の総量約20万トンのうち85%は放射性廃棄物として扱う必要はないもの(クリアランス物)であり、原子力関連施設や電力関連施設でベンチなどに再利用されていた。また、廃炉作業については、作業を実施しながら次の工程のモニタリング作業も同時進行で行われるなど、玄海原子力発電所の廃炉作業でも共通する部分があり参考になった。

使用済核燃料乾式貯蔵設備については、15基のドライキャスクに915体の使用済核燃料が貯蔵されており、地震対策のため貯蔵設備を固定する鋼管杭の直径は約80cm、厚さ16mmで、435本の杭が20m下の岩盤まで達している構造となっていた。また、津波対策として発電所の外回りは、標高が最大で20mといった防潮堤の建設工事が行われており、万が一防潮堤を超える津波があった場合に備え、電源盤や蓄電池などの安全上重要な設備にも水が入らないように、水密扉への取り換えが行われるなど、十分な安全対策が講じられていた。

州電力株式会社は、新規制基準に基づく安全対策に対する経験を蓄積しており、今後も玄海原子力発電所の十分な安全対策が図られるよう本特別委員会においても、今後の動きに注視していく必要があると感じた。

東海・東海第二発電所原子力館

東海・東海第二発電所原子力館(発電所構内視察前の概要説明を受ける様子)

防潮堤

防潮堤

 

視察項目2:重点区域の概要、安全協定、住民避難計画の具体策について(茨城県水戸市)

概要

戸市は、首都東京から約100kmの距離にあり、関東平野の北東端に位置する茨城県の県庁所在市であり、市域の北側は那珂川を隔てて、ひたちなか市・那珂市に接しており、東側は大洗町に、南側は茨城町に、西側は笠間市・城里町と接し、市全域がUPZ圏内に位置している。

海第二発電所からおおむね半径20kmの距離に位置する自治体を「所在地域」と捉えて、平成24年2月に東海村長を座長として、「東海村、日立市、ひたちなか市、那珂市、常陸太田市、水戸市」で構成する「原子力所在地域首長懇談会」が設立された。その後、重点区域が半径30kmに拡大しPAZ、UPZという概念が示されことから、「原子力所在地域首長懇談会」などに属していないUPZ圏の自治体から要望があり、平成26年12月に水戸市長が中心となり「東海第二発電所安全対策首長会議」が設立された。

の2つの組織の取り組みについては、「原子力所在地域首長懇談会」では、事前了解権を「東海第二発電所安全対策首長会議」は発電所の安全対策等について意見を述べることのできる権利の権限強化が求められた。

全協定の見直しについては、権限強化の実現に向けて、事業者である日本原子力発電所株式会社に対し、数多くの申し入れと協議が行われ、「原子力所在地域首長懇談会」においては、6回にもわたる申し入れが実施された。

の結果、最初の要求を行ってから5年8か月後の平成30年3月29日に構成自治体が「実質的な事前了解権」を得ることになり、東海第二発電所の再稼働に係る新協定が締結され、平成31年2月15日には、「施設の重要事項及び異常時における通報連絡体制の確立」および「安全対策について意見を述べる権限」も得ることになり、権限の拡充と枠組みの拡大が図られている。

民避難計画の具体策については、水戸市の人口は約27万人で、東海第二発電所において原子力事故が発生した場合の避難対象者は、約96万人に及び、全国で最も多い対象人口となっている。このため、広域避難先については、水戸市の広域避難先としては、茨城県内の9自治体のほか、現在も県が主体となった調整を進めているが、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県内の自治体に避難することになるとのことであった。

所感

たな協定締結には、事前協議において、それぞれが納得するまでとことん協議を継続することを事業者に約束させたものであると明記され、6市村が納得するまでは協議が終了せず運転再開に至らないことから「実質的に事前了解権を担保する仕組み」となっている。この文言を入れるまでに5年8か月もの長き年月をかけて勝ち取られたとのことであった。一つでも反対されれば動かないといった強固な姿勢についても、何より住民の安全確保のためであること、そのために「納得するまでとことん協議する」との言葉を何度も言われていたことが印象に残った。

域避難については、全国で最も多い対象人口であるため、水戸市地域防災計画にも「県外避難については調整中」との記載もあり、避難先施設および受け入れ自治体の確保が難しいことが想像できた。唐津市においては、受入市町の確保はできているため、今後は受入市町とのさらなる連携強化、情報の共有化に努め、市民が円滑に広域避難できる関係を構築することが必要であると感じた。

水戸市視察研修の様子1 水戸市視察研修の様子2

視察研修を受ける様子

問い合わせ

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〒847-8511 佐賀県唐津市西城内1番1号

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