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更新日:2023年12月28日

風力発電等新エネルギーに係る特別委員会行政視察報告書(令和5年度)

1参加委員

  • 石﨑俊治委員長
  • 白水敬一副委員長
  • 宮原辰海委員
  • 久保美樹委員
  • 伊藤一之委員
  • 古藤宏治委員
  • 中村健一委員
  • 山下壽次委員
  • 伊藤泰彦委員
  • 黒木初委員
  • 吉村慎一郎委員
  • 大西康之委員
  • 熊本大成委員
  • 楢﨑三千夫委員

2察日時

令和5年11月14日(火曜日)、11月15日(水曜日)

3視察概要・所感

視察項目:洋上風力発電事業について

視察先1:長崎県

概要

再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業の促進区域として2019年12月に国内で初めて五島市が指定され、現在8基の洋上風車の建設が進んでいる。また、それ以前にも浮体式洋上風力発電の実証事業が2012年から始まっており、3年間の実証事業のあと、商業運転を開始している。2022年9月には西海市が新たに促進区域に指定され、現在事業者の選定が行われている。

いずれの海域においても、県と地元自治体が連携し、地域や漁業者の共存共栄の理念のもと、漁業影響調査の実施や文化遺産への眺望配慮など法定協議会において要望をとりまとめ、事業者公募の条件とされていた。長崎県においては、海洋再生可能エネルギー産業の拠点形成を図るために、外郭団体である長崎県産業振興財団にコーディネーターを配置し、企業訪問などを実施し、県内外の洋上風力発電事業に関する県内企業の受注獲得の支援や設備投資、研究開発、人材育成などの先行投資支援等を行われている。

また、日本財団の支援のもと、産学官連携によりアジア初の海洋エネルギーの専門人材育成機関「長崎海洋アカデミー」を長崎大学内に設置し、事業開発、洋上風力発電に特有な認証や保険・ファイナンス、市場動向、風況海象観測、海底地盤調査解析、洋上施工技術、送電システムなどさまざまなカリキュラムを提供されており、洋上風力発電に関する専門的な知識、技術が学べる育成機関として全国各地から企業のみならず自治体からも参加されている。2024年からは伊王島にCTVを用いた実海域での訓練施設が稼働予定であり、これらの取り組みにより、長崎県において海洋再生可能エネルギーの拠点形成を図り、雇用の拡大や所得向上に努められていた。

所感

五島市、西海市いずれの候補海域においても、再エネ海域利用法による一定の準備の段階に進んだ区域の指定から促進区域の指定まで3年を要していない。現在、唐津市沖の洋上風力は県による利害関係者や地域への説明会が行われているが、次の段階への進捗がなかなか進まないことから長崎県のスピード感のある取り組みは羨ましい限りだった。やはり、県と市が一体となって利害関係者への地域への働きかけが不可欠との思いを再認識した。

長崎県は、洋上風力を利用した関連産業の創出事業に県内企業の参入を支援するためさまざまな事業に取り組まれ、本気になって将来の地域経済の発展や雇用拡大を図るための取り組みが進んでおり、佐賀県とは大きな温度差があることを強く感じた。

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視察の様子

視察先2:長崎県五島市

概要

2010年より浮体式洋上風力発電が環境省の実証事業として始まり、2016年に発電が稼働された。その実証機に隣接する形で、新たに8基の洋上風力発電事業が計画され、国内で初めて再エネ海域利用法の促進区域に指定され、現在設置工事が行われている。また、潮流発電の実用化推進事業にも取り組まれており、現在は実験のみだが、2024年に奈留島へ電力供給を始められる予定であり、海洋再生可能エネルギーを活用し、地域産業の活性化へ向け取り組まれてた。

これらの事業の推進にあたっては、地元漁協や商工・観光団体、官公庁などの協議会を設立し、協議会の内部に風車の清掃や組み立て、メンテナンス、エコツーリズム造成等に地元からの参入を促すことを目的とした市内企業関係者で構成する研究会を発足されていた。

洋上風力発電事業の実施にあたって、漁協や漁業者などへの説明を行い、漁業振興策を実施することを条件に管内3漁協と海域利用の同意を形成された。漁協振興策の具体的な内容は五島市と漁協等の関係者が協議のうえ策定し、事業開始後20年間実施予定で、実施状況を協議会に報告する仕組みとなっていた。

これらの取り組みにより、五島市内の再生可能エネルギーによる電力自給率は50%を超え、洋上風力8基の運転が開始されれば80%を超えるということであった。関連産業では雇用が生まれ、洋上風力の視察は年間1,000人を超える年もあり、経済への効果も見られている。そのほか、地元団体で組織された地域新電力会社では、市関連施設への供給や利益の一部を学校教育活動への支援など地域に還元されている。

今後は、風や潮の流れは貴重な財産であるという考えの下、海洋再生可能エネルギーによる島づくりの推進を行い、ゼロカーボンシティの実現や五島の持続的な発展につなげていくということであった。

所感

五島市における洋上風力の推進は、早くから実証実験もあっていたためか、崎山沖の事業が短時間で進んでいることに驚きを感じた。唐津は5年以上前から話はあっていたが、いまだ有望区域にも指定されていない。漁業者の同意はもちろん、環境の面からもさまざまな議論もあったと思うが、短期間でそういった人たちの同意を得ることができたのは、五島市自体が島の過疎化対策の一環として再生可能エネルギーによる島づくりという基本方針があるからではないかと思う。トップを含む行政にその意識がなければ新たな挑戦はできないと思う。

また、洋上風力関係の視察が平成24年度からの11年間で、792団体・9,198人となっている。視察者は五島市内に宿泊するため、視察だけでも経済効果はとても大きい。崎山沖に浮かぶ浮体式洋上風力施設を視察するパッケージツアーも観光協会が実施している。このほか、五島市は地元産業界を巻き込んだ組織を作り、全市をあげて取り組んでいる姿勢が見えた。唐津市も将来大きな経済効果を生み出す可能性のある事業へと取り組んでいかなければならない。

漁業振興策についても、発電事業の収益等を基に、五島市が基金を設立し、支援を行っている。五島市は唐津市以上に漁業者が多いところで、そこで合意を得て事業が進んでいることを考えるべき。

五島市はゼロカーボンシティ宣言を行った後、実現に向けた計画を公表し、具体的な事業を推進している。本特別委員会でも五島市の取り組みについて、具体的な重点事業を協議、検討していく必要があると感じた。

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視察の様子

問い合わせ

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