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市民厚生委員会行政視察報告書(令和6年度)
1 参加委員
- 伊藤泰彦委員長
- 古藤宏治副委員長
- 笹山茂成委員
- 大宮路美奈子委員
- 青木茂委員
- 熊本大成委員
- 宮本悦子委員
2 視察日
令和6年4月18日(木曜日)、4月19日(金曜日)
3 視察概要・所感
視察項目1:ごみ収集車運搬船の台船建造について、クリーンセンターくれの施設更新について、し尿収集運搬事業の委託化について(視察先:広島県呉市)
概要
呉市は、広島県南西部に位置し、明治22年の呉鎮守府の開庁を機に、鎮守府の町として発展。平成28年には旧軍港4市が共同申請したストーリーが日本遺産の認定を受ける。現在も海上自衛隊呉地方隊がある。
平成の大合併(1市9町)により、現在の市域を形成。合併当初は人口が25万人超であったが、少子高齢化、人口減少が進み、現在の人口は20万3千人余りで、高齢化率は38%となっている。
本市同様、有人離島を有し、家庭ごみをはじめとしたごみ収集は、収集車を呉市所有の代船にて運搬し、収集を行っている。しかしながら、市所有の代船は建築から27年が経過し老朽化が進んでいることや当該区域の定期航路は旅客のみで車両の運搬ができず、停泊時間も短い等の理由から、新たなごみ収集車運搬船の建造事業に今年度から着手され、事業費は2億円程度を予定されている。
市内のし尿収集については、本市のような許可制ではなく、業務委託をされており、安定的かつ継続的な体制を構築されている。
また、ごみ処理の安全・安心・安定性の確保や脱炭素社会の実現、ごみ処理施設の適正配置の観点から、次期ごみ処理施設の整備にも取り組まれており、令和12年度からの本格稼働に向けて現在進捗を図られている。
これらの事業は、いずれも本市が抱える課題であるが、呉市ではこれらの課題解決に向け、すでに事業着手をされており、今後本市にて起こり得る課題等について視察を行った。
所感
今回視察した離島ごみの収集運搬、し尿処理、ごみ処理施設の各項目は、唐津市が抱える課題である。
離島ごみの収集について、本市では以前、業者の撤退により離島ごみの安定的な収集に問題が生じた経緯があり、唐津市議会からも県に離島ごみ収集運搬船の対応を依頼しているところであるが、再度、早急に安定的な離島ごみ収集を考える必要性を改めて感じた。
し尿収集処理は、市町村固有の事務で最後の1世帯まで収集を行う必要があるため、どの市においてもその対応に苦慮している。汲み取り世帯は年々減少傾向であり作業効率が悪化していることや人件費、燃料費等の高騰で業者の経営が圧迫されているので、委託化することで事業継続が可能になると感じた。
ごみ処理施設候補地の選定について、呉市では隣接地に次期施設の建設予定地があり、現施設の敷地と交互に使用されており、今後本市において予定される候補地の選定の参考となった。また、処理方式は採用実績、競争性、Co2排出量、建設費、維持管理費など様々な角度から評価を行い、最高点数だったストーカ方式が適していると評価されている。脱炭素社会実現も目指し計画されていることも評価できる。建設費は資材高騰などの影響から見通し困難となっているが、直近の他自治体の実績などを参考にされていた。唐津市でも計画が進められており、次期施設建設に向けて多くの情報を委員で共有し尽力していきたい。
視察研修の様子
呉市議会議場
視察項目2:家庭ごみの分別方法について(視察先:山口県周南市)
概要
周南市は、平成15年に2市2町が合併し誕生。
家庭から排出されるごみは、合併後も8年間、旧市町単位の処理方式を引き継ぎ、分別方法も地域によって異なり、処理施設もそれぞれの地域に整備されている状況であった。行政サービスの公平性の確保から、ごみ処理システムの統一化を図る必要があったことや市内の処分場は各施設ともひっ迫していたことからごみの減量化が周南市では課題となっていた。
これらの課題を解決するために、「周南市リサイクルプラザ」を整備。平成23年に供用開始し、処理能力77トン。燃やせないごみ、不燃性粗大ごみ、びん、缶、ペットボトル、容器包装プラスチック、その他のプラスチックを受け入れ、資源化され再生されている。
リサイクルについて、施設近隣の企業と連携し共同開発推進がなされている。センターで発生した再生品は、原材料として地元企業が引き取るなど自治体と立地企業が連携してリサイクルにあたっている。この施設を核として周南市では再資源化等に取り組まれ、最終処分の対象となる廃棄物の減量、減容化に取り組まれる。また、容器包装廃棄物のリサイクル制度を構築されている。
市内で統一された家庭ごみの分別をはじめるにあたって、周南市で実施された市民への周知、また、従来の可燃物、不燃物、資源物等のごみだけでなく新たに取り組まれた包装容器プラスチック等の分別により生じたごみの収集、処理などの課題について、周南市の取り組みを伺うとともに今後の唐津市において生じるであろう課題について視察を行った。
所感
唐津市では合併前からの分別方法が残っており、統一されていない。議会でも、ごみ分別の市内統一や包装容器プラスチック等の分別開始について、よく議論となるが、周南市では全国でもいち早く取り組まれている。
新たな方法での分別収集開始に伴い、市民への周知として、自治会長への説明会や地区の集会などに出向いて周知に努められている。
また、新分別開始後も、使用済みのプラスチック容器などどこまで洗えばいいのか等の市民からの問い合わせが多かった部分はその都度修正をされている。
従来の分別よりも約7%経費が増加したということだったが、プラスチックごみなどを分別回収することで、ごみの排出量減少、再資源量の増加、最終処分量の削減へとつながっている。
施設内を見学させていただいたが、作業員が手作業で分別が違うものを除外されており、大変な作業だった。このような現場を子どもたちも見学に訪れており、小さいころから意識を持つことも重要である。
また、周南市では自治会におけるごみ問題のリーダーとしてクリーンリーダー制度を取り、地域でのごみ問題に対してリーダーとして活動していただき、循環型社会づくりに市と一緒に取り組んでいる。
視察の様子(周南市リサイクルプラザ)