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議会運営委員会行政視察報告書(令和6年度)
1 参加委員
- 吉村慎一郎委員長
- 大西康之副委員長
- 久保美樹委員
- 原雄一郎委員
- 伊藤泰彦委員
- 黒木初委員
- 石崎俊治委員
- 楢崎三千夫委員
- 中川幸次委員
- 笹山茂成議長
- 水上勝義副議長
※石崎委員、楢崎委員の「崎」は正しくは「大」の部分が「立」になります。
2 視察日
令和6年11月11日(月曜日)、11月12日(火曜日)
3 視察概要・所感
視察項目1:議会改革の取組みについて、議会政策討論会について(視察先:大阪府岸和田市)
概要
岸和田市は、大阪府南部の市であり、1922年(大正11年)全国で87番目に市制をしかれている。大阪湾に臨む中心市街は寛永年間(17世紀初め)以降岡部氏の城下町として発達。明治中期以後は泉州綿織物を主とする紡織工業都市として発展し、金属・機械器具・レンズ工業も行われ、臨海部の埋立地には1966年(昭和41年)以降木材コンビナート、鉄工団地が建設されている。人口186,902人(令和6年9月1日現在)面積72.72平方キロメートル。だんじり祭りが有名であり、関西国際空港からもほど近く交通の要衝地区でもある。
岸和田市議会の議会改革の取組みとしては、インターネットでの一般質問、総括質問の録画放送を平成19年6月20日に決定し行っていることや委員会における質疑の事前通告制の導入を平成28年7月21日に決定したこと、令和5年2月15日に岸和田市議会BCP(業務継続計画)を策定したことなど23項目の説明を受けた。政策討論会については、議会基本条例で市政に関する重要な施策について共通認識を醸成するとともに、政策水準を高めるため、活発な意見交換を行うことが定められており、平成23年度から政策討論会を実施していること、またその内容進め方について説明を受けた。
所感
岸和田市議会では、平成23年2月に制定した議会基本条例に基づき議会改革に取り組まれており、さらなる議会活動の充実・強化を目指すべく議員提案による条例制定や改正、令和に入ってからは、議会録画中継への字幕表示の開始、政治倫理条例運用に関する検証、予算・決算常任委員会化に併せ、各委員会インターネット生中継と録画中継実施、議会のIT化(タブレット端末の導入)、市議会BCP(業務継続計画)の策定など議会改革に取り組まれてあった。
政策討論会は、各会派の幹事長で構成される代表者会議、24名の議員が3分科会に分かれ月1回程度開催される分科会、分科会座長が提言書を作成し報告する全体会議(年1回)の3つの組織で運営されている。
分科会では、(1)明確な目的の共通認識(なぜ、これをすることにしたのか)、(2)岸和田市の現状把握、(3)課題抽出、(4)他市の先進地事例調査、(5)岸和田市のあるべき姿(課題解決)、(6)とりまとめの議論の順で進められ、何のために開いたかわからない会議にしないこと、座長は、会議の最後に結論をまとめ、委員と必ず確認しあうことなど、毎回、会議の結論を明確にすることが取り決められていた。
政策や課題について、議員同士の認識を揃える効果としては、唐津市としても見習い実施すべきか考えさせられた。また、この政策討論会の分科会は、議員間の討議に重きをおかれた施策討論会であるので、議会の活性化へ繋がりすばらしい事だと感じた。岸和田市議会のように、このような討議の場を作り協議していくことは、議会の活性化において非常に重要なことだと再確認できた視察であった。
視察研修の様子
岸和田市議会議場
視察項目2:議会ICTについて、議会改革の取組みについて(視察先:大阪府堺市)
概要
堺市は近畿地方の中部、大阪府の中南部に位置する、大阪府で人口・面積が第二の政令指定都市である。古代には仁徳天皇陵古墳をはじめとする百舌鳥古墳群が築造され、中世には海外交易の拠点として「自由・自治都市」を形成し、わが国の経済、文化の中心地として繁栄してきました。世界遺産をはじめとする類稀な歴史文化資源を大切にしながら、「未来を創るイノベーティブ都市」として発展する都市をめざしてある。人口807,377人(令和6年9月1日現在)面積149.83平方キロメートル。
堺市議会では、議会ICT化(ペーパーレス化)の推進として、令和元年度に協議を開始し令和2年度から実施可能なものからペーパーレス化を実施されている。議会改革の取組みとしては、議会力向上会議を平成23年6月に設置し、平成26年9月に法制化、これまで計73回開催。議会の機能を高め、議会力の向上を図るため、継続的な議会改革に取り組んである。
所感
堺市議会では、市民にとってより身近で開かれた議論の場としての役割強化及び充実を図るにあたり、議会におけるICT化を積極的に推進することで、議会改革をさらに推し進め、議会運営の効率化、議論の活性化、ペーパーレス化等の実現に寄与することが目的としてあった。また、議会ICT環境を整備するとともに既存会議システムの整備更新を行うことによりICT化及びペーパーレス化を進めてあった。議会フロアにWi-Fi環境を整備し、本会議や委員会でのタブレット端末利用を推進、ペーパーレス化及び迅速な情報共有を図るためクラウド型情報共有システム(Morenote)及びビジネスチャット(Wowtalk)を導入してあった。今後の調査・検討として、永年保存会議録の電子データ化(ペーパーレス化)、電子署名の検討や傍聴者への対応として資料配布のペーパーレス化が挙げられていた。
本市においても、令和5年度よりタブレット端末等を用いた試験的な議会運営を行っているが、現時点で使用率は高くなく、今後ペーパーレス化とデジタル技術の更なる活用が重要な課題である。堺市議会の取り組みを参考にしながら効率的かつ柔軟な運用体制の構築に向け検討していく必要があると感じられた。
視察研修の様子
堺市議会議場