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意見書(令和7年第5回定例会)
令和7年第5回定例会意見書結果一覧
| 番号 | 件名 | 結果 | 提出日 | 会議名 |
|---|---|---|---|---|
| 議決日 | ||||
| 意見書第3号 | 地域医療の拡充を早急に求める意見書 | 原案可決 | 12月22日 | 第5回定例会 |
| 12月22日 | 第5回定例会 | |||
| 意見書第4号 | 地方財政の充実・強化に関する意見書 | 原案可決 | 12月22日 | 第5回定例会 |
| 12月22日 | 第5回定例会 |
意見書全文
地域医療の拡充を早急に求める意見書
少子・高齢化社会の進行、美容医療ニーズの高まりなど、わが国の医療をとりまく環境は大きく変化し、医師が都市部に集中し、地域における医師および看護師をはじめとした医療スタッフが不足している。今後、過疎化が進む地域では、「無医地区」となる地域が増えていくと予測され、大きな社会問題となっている。
また、昨今の原価高、人件費高騰、働き方改革の影響で、病院経営はますます厳しく、現在地域の公立病院の9割が赤字経営となっており、本市の公立病院も令和6年度は赤字決算となっている。
特に、地域においては、産科や小児科開業医の後継者不足や高齢化が顕著で、医療体制が崩壊の危機にあると言っても過言ではない。本市においても一次医療を担う小児科の病院数は全国平均に対し大変少ない状況で、子育て世代に不安が広がっている。加えて、本市を含む佐賀県北部医療圏の拠点病院である唐津赤十字病院の周産期医療体制は、緊急手術等の対応が多い一方で、医師不足による過重負担労働が続いており、現状の体制ではハイリスク妊産婦の受入れが困難となり、地域全体の周産期医療体制が崩壊しかねない危機的状況である。
そのような中、本市では唐津・東松浦小児医療に関する協定(唐津市、玄海町、唐津東松浦医師会、唐津赤十字病院)に基づき、唐津赤十字病院内に設置された地域連携小児救急センターに対し、財政的支援を実施することで周産期医療を支えている状況である。
地域医療は、市民の生命・健康に直結する不可欠なライフラインの公共サービスであり、国民が安心と信頼の上に地域医療にアクセスできる医療提供体制を確保することは、国の責務でもあると言える。特に、だれもが安心して子どもを産み、育てられる環境を整備する上で、産科・小児科医の確保対策は喫緊の課題である。
地方自治体では、医療体制維持に向けた支援体制づくりなどさまざまな取り組みを実施しており、本県も産科・小児科医確保のための奨学金制度を創設し、本市でも前述の通り補助金による支援などを実施しているが、こうした自治体レベルの取組みでは、限界があると言わざるを得ない。
よって、医師総数の確保に責任を有する国が、地域医療の現状を十分認識し、早急に以下の対策に取り組まれるよう強く要望する。
- 崩壊の危機に直面している地域医療を守る医療財源の確保を図り、持続可能な運営のために必要な診療報酬の設定を早急にはかること
- 医療従事者の偏在是正指標に基づき、地域医療を担う医師・看護師・助産師などの確保と養成のために必要な財政的支援を行うこと
- 救急医療に係る地域間格差の是正を図ること
- 地域における周産期母子医療体制の充実と小児救急医療体制の整備、医師確保策など自治体施策に対する財政支援の充実を図ること
- 病院経営の自律的改善を促す経営ノウハウ獲得、運営体制の構築支援を行う人的支援、財源を確保すること
以上、地方自治法第99条に基づき意見書を提出する。
令和7年12月22日
佐賀県唐津市議会
衆議院議長 額 賀 福志郎 様
参議院議長 関 口 昌 一 様
内閣総理大臣 高 市 早 苗 様
総務大臣 林 芳 正 様
財務大臣 片 山 さつき 様
文部科学大臣 松 本 洋 平 様
厚生労働大臣 上 野 賢一郎 様
地方財政の充実・強化に関する意見書
いま、本市は他の地方公共団体と同様に、急激な少子・高齢化に伴う社会保障制度への対応、子育て施策、人口減少下における地域活性化対策はもとより、DXの推進、脱炭素化、物価高騰化対策など極めて多岐にわたる新たな役割が求められている。
一方、財政面においては近年の異常気象等における災害の復旧や老朽化施設の改修等に加え、市民生活に直結する行政サービスにおいても人件費・物価高騰などにより財政負担が増加している。
さらに、これまで地域コミュニティで担ってきた里道や水路等の除草や土砂の浚渫などの法定外公共物の管理において、人口減少・少子高齢化により地域での対応が困難となり、国や自治体への財政要望も現実となっている。
政府はこれまでいわゆる「骨太の方針」に基づき、地方の一般財源総額の前年度水準を確保する姿勢を示してきた。しかし、前述した本市をはじめとした地方公共団体の増大する行政需要に鑑みれば、今後はより積極的な財源確保が求められる。
このため令和8年度政府予算または地方財政の検討にあたっては、現行の地方の一般財源総額の確保をより積極的に踏み出し、社会全体として求められている地方財政の充実・強化を実現するよう、以下の事項を求める。
- 子育て対策、地域医療の確保、介護や生活困窮者の自立支援など、より高まりつつある社会保障ニーズが自治体の一般行政経費を圧迫していることから、引き続き地方単独事業分を含めた十分な社会保障経費の充実を図ること
- 地域間の財源偏在性の是正に向けては、所得税や偏在性がより少ない消費税を対象に国税から地方税への財源移譲を行うなど、より抜本的な改善を行うこと
- 政府として減税政策や物価高騰対策を検討する際は、地方財政への影響がないように、あらかじめ「国と地方協議の場」を活用するなどし、特段の配慮を行うと共に地方財政への影響が想定される場合は確実にその補填を行うこと
- 人口減少に直面する自治体を支援するため、段階補正を拡充するなど地方交付税の財源保障機能・財政調整機能の強化をはかること
以上、地方自治法第99条に基づき意見書を提出する。
令和7年12月22日
佐賀県唐津市議会
衆議院議長 額 賀 福志郎 様
参議院議長 関 口 昌 一 様
内閣総理大臣 高 市 早 苗 様
総務大臣 林 芳 正 様
財務大臣 片 山 さつき 様
厚生労働大臣 上 野 賢一郎 様
農林水産大臣 鈴 木 憲 和 様
経済産業大臣 赤 澤 亮 正 様
国土交通大臣 金 子 恭 之 様
内閣官房長官 木 原 稔 様
内閣府特命担当大臣 黄川田 仁 志 様
(こども政策)
内閣府特命担当大臣 城 内 実 様
(経済財政政策)










