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市民厚生委員会行政視察報告書(令和8年度)
1 参加委員
- 古藤宏治委員長
- 黒木初副委員長
- 江里孝男委員
- 井手清和委員
- 片峰和也委員
- 大河内正弘委員
- 伊藤泰彦委員
2 視察日
令和8年5月13日(水曜日)、令和8年5月14日(木曜日)
3 視察概要・所感
視察項目1:子育て支援の取組について(視察先:熊本県合志市)
概要
合志市は熊本市の北部に隣接するベッドタウンとして、全国的な人口減少傾向のなかで継続的な人口増加を維持している。平成18年の合併当時に約5.2万人であった人口は、子育て世帯の転入促進、宅地開発の進展、ならびに近隣地域における半導体関連産業の活性化を追い風とし、令和6年には約6.5万人に達した。
こうした背景のもと、合志市は「日本一の子育て支援のまちづくり」を市政の最重要課題と位置付けている。
本施策は、妊娠期から中学生までの成長段階に応じた切れ目のない「伴走型支援」にある。
国の「伴走型相談支援」を具現化するため、独自開発の「こうし子育てアプリ(Kokoa(ココア))」を活用し、健診予約から予防接種管理、専門職による相談窓口の一元化を図るなど、デジタル技術を用いた行政サービスの高度化(DX)を強力に推進している。
経済的支援については、所得制限を設けず、妊娠確定時および出産時に各5万円を給付する施策を講じている。あわせて、市内3か所に設置した「つどいの広場」を拠点とし、保護者の孤立防止となる「居場所づくり」を支援しており、年間延べ利用者は12,000人を超える実績となっている。
また、保育人材の確保については、平成30年より「合志市保育士等人材バンク」を運用している。
この事業は、市が窓口として登録・情報提供を担い、その後の具体的な調整を各施設へ委ねる形式をとることで、行政コストを抑制しつつ効率的な潜在保育士の掘り起こしを実現している。
最近では、離職防止の観点から「勤務環境」の重要性に鑑み、施設見学ツアー等を通じた求職者と施設間のカルチャーマッチングを促進するなど、ソフト面での支援基盤を一層強化している。
所感
本市と合志市は、人口動態や地理的条件において対照的な背景を有している。本市は広大な面積と離島を抱え、人口約11.1万人で減少傾向にある一方、合志市は熊本市のベッドタウンとしてコンパクトな都市構造を維持し、約6.5万人へと着実に人口増を続けている。
このような背景の違いを踏まえつつ、両市の子育て支援策を比較した。
本市は、小中学校給食費の完全無償化や18歳以下への独自手当支給といった「経済的負担の直接的な軽減」に強みがある。
対して合志市は、DXを活用した相談体制の整備や、妊娠期から中学生までを切れ目なくつなぐ「伴走型支援」の構築に注力しており、孤立を防ぐ仕組みづくりに特徴がある。
今回の視察を通じ、金銭的支援のみならず、デジタル活用による利便性向上と、対面での居場所づくり・相談支援がバランスよく両立されている合志市のモデルが極めて印象的であった。
本市においても、母子保健と児童福祉をより一層一体化させ、関係機関が密接に連携する「切れ目のない支援体制」のさらなる強化が重要である。
また、保育士確保における職場環境の改善や、行政と地域資源を結び付けるコミュニティ形成など、市民満足度をさらに高めるための多角的な施策の検討が必要である。
今後、本市が持つ独自の経済的支援の強みに、今回の合志市のような「仕組みのソフト面」をいかに融合させられるかが、次世代の育成環境を整える鍵になると確信した。本市の地域実情に応じた、より深化された支援体制の構築に向けて、引き続き検討を重ねていく必要がある。

合志市での視察研修の様子

合志市議会議場
視察項目2:南部清掃工場について(視察先:鹿児島県鹿児島市)
概要
鹿児島市は人口約58.6万人を擁する中核都市であるが、平成25年以降は人口減少と高齢化が進展しており、持続可能な行政運営が喫緊の課題となっている。
こうした状況下において、令和3年末に稼働を開始した「南部清掃工場」は、単なる焼却施設からの脱却を図った次世代型の資源循環施設である。
本施設は、220トン/日のストーカ式焼却施設と60トン/日のバイオガス化施設を一体化させた、国内初となるごみ焼却・バイオガス化複合施設である。その最大の特徴は、高度なエネルギー回収システムによる「資源循環の多重化」にある。
ごみ焼却熱による高効率発電(4,710キロワット)に加え、生ごみやし尿・汚泥をメタン発酵させて精製したバイオガスを、近隣の民間ガス事業者へパイプライン経由で直接売却している。
この「エネルギーの地産地消」により、売電と合わせた年間売却益は約3億8,000万円に達しており、安定した財源確保に寄与している。
また、環境施策と市民の利便性を両立させる仕組みも特筆すべき点である。工場内に導入された高性能な機械選別システムにより、収集ごみから有機物を自動的に回収できるため、過度な分別負担を強いることなく、資源循環と脱炭素化を推進することが可能となった。
事業運営面では、設計・建設から20年間の運営を一括で民間委託するDBO方式を採用した。これにより、民間のノウハウを最大限に活用した効率的な維持管理体制を確保し、従来方式と比較して約19億円のコスト縮減を見込んでいる。
このように、南部清掃工場は、技術的な先進性と経営的な効率性を高度に融合させたモデルとして、持続可能な自治体経営における先駆的な事例である。
所感
鹿児島市が抱える人口減少と高齢化という課題は、本市においても同様に直面しているものであり、持続可能な行政運営における喫緊の課題となっている。
この厳しい環境下において、令和3年末に稼働を開始した「南部清掃工場」は、単なるごみ処理の場という枠組みを超え、地域を温かく支える「エネルギーの産出拠点」へと見事に生まれ変わった。
本施設が何より特筆すべきは、ごみ焼却とバイオガス化を組み合わせた「国内初」の複合プロセスにある。生ごみやし尿汚泥から精製したバイオガスを都市ガスの原料として売却し、焼却熱による高効率発電と合わせることで、年間約3.8億円という大きな収益を生み出している。これは、人口減少に伴う税収減が懸念される中、廃棄物を「負担」から「価値」へと転換する、自治体経営の新たなモデルケースと言える。
また、環境施策の現場でしばしば障壁となる「市民の分別負担」に対しても、高性能な機械選別システムの導入によって、市民の生活利便性を損なうことなく高度な資源循環を実現している。環境への配慮と市民生活の快適さを両立させようとするこの姿勢は、地域住民と共生するインフラのあり方として非常に説得力がある。
さらに、運営面では設計・建設から20年間の運営を一括で担う「DBO方式」を採用することで、従来方式と比較して約19億円のコスト縮減を達成している。この民間活力を最大限に引き出す手法は、次期清掃工場の建設を控える本市にとって、財政面・技術面ともに極めて現実的かつ重要な指針となる。
今回の視察を通じ、改めて痛感したのは「ごみ処理」という重要インフラを未来へ引き継ぐことの重みである。将来のエネルギー需要や地域特性を丁寧に読み解き、費用対効果を冷静に精査しながら、民間事業者と知恵を出し合う。そうした丁寧な事業計画の積み重ねこそが、持続可能なまちづくりの基盤となる。
今回学んだ先進的な知見や民間の方々と力を合わせる工夫をしっかりと持ち帰り、本市の未来を支える施設づくりへ、一つひとつ丁寧に検討を積み重ねていきたい。

視察研修の様子(研修室)
視察研修の様子(清掃工場施設内)










