更新日:2024年3月4日
船だまり
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秋玲二(あきれいじ)明治43年~平成18年(1910-2006)
昭和59年(1984)油彩・カンヴァス162.1×112.1センチ
「黒々と黒一色にかたまりてゴンドラは昼の陽射しをねむる」――秋が本作に付した自作の短歌です。
水の都ヴェネツィアでのひとこま。晴天の昼間、ゴンドラの群れが逆光で黒いかたまりと化し、ゆれる水面が建物と空の色を映しています。運河に抱かれた船たちは、ひとときの眠りについているかのよう。この場所は、秋がスケッチのため歩きまわっていたときに偶然見つけたのだそうです。
唐津市に生まれた秋は、旧制唐津中学校を卒業後上京。教職に就くかたわら、戦前から漫画を描き始めました。昭和14年(1939)から平成12年(2000)まで毎日小学生新聞に「勉強まんが」を連載。『サイエンスくんの世界旅行』で昭和37年(1962)度小学館漫画賞を受賞するなど学習漫画家の草分けとして知られる一方、国内外をまわり、洋画も描きました。のびやかなタッチの明るい風景画が多く、特に水辺の情景を好んで描いています。