更新日：2024年2月29日

総務教育委員会行政視察報告書（令和元年度）

1参加委員

馬場幸年委員長、中村健一副委員長

1期青木茂委員、酒井幸盛委員、楢崎三千夫委員、浦田関夫委員、大西康之委員、宮本悦子委員

2視察日

令和元年7月10日（水曜日）から11日（木曜日）まで

3視察概要・所感

（1）視察項目：熊本地震について視察先：熊本県熊本市

概要

熊本市は、平成28年4月14日に震度6弱（前震）、16日には震度6強（本震）という大地震に見舞われた。熊本県益城町に至っては、前震、本震ともに最大震度7という観測史上初の事態が発生した。また、一連の地震で震度6弱以上の地震が7回発生し、余震の発生回数の累計は、4,484回にも及んだ。
熊本市の約7人に1人に当たる、11万人が避難したが、地域防災計画では、避難者5万人を想定していたため、避難所は人であふれており、車中泊を余儀なくされた方もいたとのこと。そのため、正確な避難者数を把握することはできなかったとのこと。
被害状況としては、死者87人（直接死6人、関連死81人）、負傷者770人に及び、住宅被害は全壊から一部損壊までの合計は、罹災証明書交付件数で136,394件。その他宅地被害の状況は、推計で、がけ崩れ被害戸数約4,300戸、液状化被害戸数約2,900戸。その他にも、最大約326,000戸の断水、約278,400戸の停電、約100,900戸のガスの供給停止とライフラインにも大きな被害が発生した。被害額の試算は、約1兆6,362億円にも上るとのこと。

所感

熊本市は、2度に渡る大地震、震度6弱以上の地震が7回発生、余震の発生回数は、4千回を超えるという、とてつもない地震に見舞われた。地域防災計画で想定していた避難者5万人を遥かに上回る11万人もの避難者、加えて車中泊などによる避難者も相当程度おり、現場は大変な混乱であったことと思う。
反省点として、初期対応に全職員（約6千人）を招集したが、職員自身も被災しており、避難所開設が遅れた。多くのボランティアに来ていただいたが、初期段階では作業内容を指示することができなかった。職員の健康面を考慮し、一時的にでも通常業務を取りやめて災害対応に専念すべきだった。などの説明を受け、唐津市において大規模災害が発生した場合にも混乱の中においては、同様の事態に陥る可能性があると感じた。
唐津市においても、風水害時の職員体制の見直しは行っているが、地震での対応は規模や場所により、安全な避難場所の確保や職員の行動など、想定が難しい問題である。職員だけでなく、地域や民間などの力を結集できるよう、自主防災組織の育成や民間との災害協定の推進が必要であると感じた。

説明の様子	熊本市議会議場

 

（2）視察項目：RPAによる業務改革について視察先：熊本県宇城市

概要

RPAとは、パソコン上で行うキーボード操作やマウス操作などを自動化するソフトウェアロボットで、定型業務やルーティーン業務を正確かつ無駄なく処理することができる。
宇城市は、平成17年の合併以来、職員数が減少傾向にあった。減少率はマイナス23.6％（670人から512人）である。それに加えて、平成28年に発生した熊本地震により、災害復興業務への対応からマンパワー不足の問題が顕著になった。このマンパワー不足の問題を解決するために、人材の確保、生産性の向上、品質の向上を課題として整理し、解決策として人と時間の余裕を作るという考え、RPAの導入に至ったとのこと。
まず、全部局に依頼し、各担当業務について、分類し作業工程や平均処理時間についての整理を行っている。これによりRPA導入による効率化可能時間は、年22,654時間（11.8人分）と算出している。

所感

唐津市においても、合併以来、職員数が減少する中、市民の行政に対するニーズは多種・多様化している。今回視察したRPAを導入することにより、現在は職員が手入力で行っている単純なPC作業などが大幅に時間短縮できるのではないかと感じた。
宇城市においては、導入にあたって、作業時間は現場担当者の感覚に頼ったものであることなど、前提条件はあるものの、効率化可能時間の算出、効果を高める考察、導入のねらいの明確化、副次的効果の検証など、一つ一つをきちんと行っていた。唐津市においても早期導入に向け検討をお願いしたいところであるが、どの程度作業時間を短縮でき、経費を削減できるかを事前に計画したり、導入後の結果の検証については、宇城市の取り組みを参考に、数的根拠を基にして丁寧に行うべきであると感じた。

説明の様子