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更新日:2023年8月17日

市民厚生委員会行政視察報告書(令和5年度)

1参加委員

伊藤泰彦委員長、古藤宏治副委員長、笹山茂成委員、大宮路美奈子委員、青木茂委員、熊本大成委員、宮本悦子委員

2視察日

令和5年7月27日(木曜日)、7月28日(金曜日)

3視察概要・所感

視察項目1:子育て応援施策「11の鍵」について(視察先:兵庫県相生市)

概要

相生市は、兵庫県の西南端に位置し、姫路市へは東へ約21キロメートル、新幹線で約10分、神戸市には約76キロメートル、新幹線で約30分の位置にある。

国の三位一体の改革の影響で財政状況が危機的状況となる見込みとなり、平成17年3月に「相生市財政SOS宣言」を行い、「第1期相生市行財政健全化計画」(平成18年度~平成22年度)を策定。持続可能な行政運営を図るために、投資的経費事業の見直しや市債残高の削減などを実施し、平成17年度当初予算総額をベースに平成22年度当初予算額を約20%削減された。

その取り組みを行われる中で、将来の人口減少が最重要課題として浮き上がり、特に年少人口(15歳未満)の割合は県下でも最下位であった。また、人口問題研究所が予測する2040年の推計人口は2010年比でマイナス62%であり、年少人口の減少は将来の相生市の人口に大きく影響することが判明した。

この問題を解決するために、「第2次行財政健全化計画」(平成23年度~平成27年度)では、人口減少対策、教育・子育て・少子化対策、産業の活性化対策を展開。行政資源の均一配分から脱却し、選択と集中による投資により、自主的・自立的な地域経営を目指した。また、その姿勢を示すため「子育て応援都市宣言を行い、子育て世代をターゲットに定住促進を図る」こととし、その結果、出生数を維持し社会増減数の減少幅は約半分となり、おおむね目標を達成した。

平成27年度からは次のステージとして、「子育て・教育施策・定住促進施策」と「地域資源を活用した交流人口の獲得や地域経済の活性化」に取り組まれ、今回の視察事業である「あいおいが暮らしやすい11の鍵」を実施されている。

所感

唐津市でも移住支援や子育て環境整備を実施しているが、相生市のように子育て世代が住みたい街までには至っていない。福祉施策のなかで、高齢者福祉はさまざまな施策があるが、若い世代、子育て世代には不足しているのではないかという想いがあったので将来的なことを考えるとここを充実させるべきであると考え、以前このことを何回も提案したが、実現しなかった経緯があるので興味深く話を聞いた。

現在は他市でも取り組まれている子育て支援・教育支援・定住支援を平成23年度から先駆けて取り組まれ、その姿勢を示すために「子育て応援都市宣言を行い、子育て世代をターゲットに定住促進を図る」こととされ、社会増が社会減を上回る年が出るなど結果が出ている。

子育て応援都市宣言の中には、子どもの笑顔があふれ、子育てに喜びを実感できるよう、家庭、地域、学校、行政みんなが手を携え、地域全体で子育てを支える町を目指す、と掲げられている。
現在そうした移住施策や子育て施策が「子育て応援施策「11の鍵」」につながっており、その取り組みのインパクトと内容の明確化が図られている。わかりやすく興味を引くようなチラシなどが作成され、アピールがされている。

事業費の半分近くを占めている給食費の無料化なども、市長の強い思いがあり、財政健全化を実施された中で出た財源をもとに、反対を説得されて実施されている。

各種施策開始時における市民の疑問に対しては、理解を得るためにコスモストーク(市民対話集会)を通じて説明し、実施後の市民の声として賛成の意見が多くなっている。相生市に転入した市民の声もおおむね良好である。

国の子育て施策が進む中で、市の取り組みも変化が出てくる。唐津市を選んでもらうための施策、市民が安心して子育てができる施策を取り入れていかなくては、遅れをとると感じた。これからは、唐津市も「こどもまんなか社会」の実現に向けて、子育て応援都市の宣言も視野に入れた施策の展開が必要だ。

 

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視察研修の様子

視察項目2:ヤングケアラーの支援について(視察先:広島県東広島市)

概要

東広島市は、広島県のほぼ中心に位置し、県内各方面からのアクセスが良好であり、高速道路網や新幹線など広域交通網が充実している。市内には広島大学や広島国際大学、近畿大学工学部などがあり東広島ニュータウン建設などにより学園都市として発展し、また、広島中央テクノポリス建設により、研究開発機能や最先端技術産業の集積が進んでいる。

令和3年度に東広島市第3次地域福祉計画の策定や地域共生社会推進本部の設置、総合相談窓口の設置、CSW(コミュニティソーシャルワーカー)の配置などを行い、重層的支援の体制を整備され、子育て、高齢、障がい、生活困窮などに関するさまざまな相談に対応されている。生活支援センターやHOTけんステーションを市役所内に設け、そこに担当部署と社会福祉協議会が机を並べており、多様な相談に連携をしながら対応をされている。

ヤングケアラーに関することは、令和3年度から実施されており、令和3年度は市内公立小中学校でのヤングケアラー学校調査、教職員・福祉職員による合同研修会の実施などに取り組まれ、令和4年度から「ヤングケアラーへの包括的支援体制整備」として、広島大学共同研究事業を開始し、大学生や福祉専門職などへの実態調査やシンポジウムの開催、当事者との意見交換会を実施された。実態調査の中から、早期から当事者に対する支援機関などとの関わりを構築することが心身の健全な育成になるのではないか、兄弟の送迎や家事援助などには一定のニーズがあるのではないかということがわかってきた。

令和5年7月から、市内に居住するヤングケアラー・若者ケアラー(30歳未満)が日常的に行っていることへの負担を軽減するため、ヤングケアラー等サポート事業を実施されている。これも手探りの中、他機関とも調整を図り、適宜修正を図りながら事業を行われていた。

所感

担当部署が子育て未来部でも教育委員会でもなく、健康福祉部の地域共生推進課であった。基本的には子ども以外の福祉の担当部署である。ヤングケアラー支援は、子どもの権利を守るということだが、ケアラーとなっている原因を改善することが重要であることが伺える。担当課には自立支援などを実施されている社教職員など他分野多職種連携の人材がいることが強みだと言われていた。

ヤングケアラーの支援は令和3年度から実施されているが、重層的支援体制整備事業の一環として「つながること」を大切にされていた。支援といっても、事前のアセスメントが重要であり、性格、親子の生育歴、生活環境、キーパーソンを丁寧に把握して介入しなければならないということが理解できた。

ヤングケアラーはいろんな方々が協力をしていかないと進まないと思う。また、家庭内に入っていかないとわからないこともある。昔であれば、子どもが家の手伝いをするのは美徳とされていたが、そうとばかりは言えない子どもがいるということがうまくまとめられていて、わかりやすく勉強になった。

サポート体制の中で見えてくる事項として、家庭力の低下などもあり、さまざまな観点からのアプローチが必要なようだ。本来、家庭にある問題と行政の関わり方などサポートの関係性をどう取り組んでいくのかなどこれからの課題と感じる。

行政内部の教育と福祉の関係性なども課題と感じる。唐津市では、まず福祉と教育委員会との連携が課題になる。人的下地づくりと関連性を模索中で、現場関係者レベルでの実態把握を実施する環境整備が改めて大切だと感じた。

 

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視察研修の様子

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