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更新日:2024年2月29日

産業経済委員会行政視察報告書(令和元年度)

1加委員

山下正雄委員長、伊藤一之副委員長
石﨑俊治委員、山下壽次委員、水上勝義委員、浦田関夫委員、進藤健介委員、白水敬一委員

2察日

令和元年7月24日(水曜日)から25日(木曜日)まで

3察概要・所感

(1)視察項目:商店街支援施策について察先:香川県高松市

概要

松市は人口427,260人、面積375.41平方キロメートルであり、「活力にあふれ造性豊かな瀬戸の都・高松」を目指して、都市的利便性と自然的環境が享受できる都市の実現に向けてまちづくりに取り組んでいる。
昭和63年の瀬戸大橋開通や平成元年の新高松空港開港、平成4年の四国横断自動車道の延伸などにより高松市を取り巻く環境および人の流れに大きな変化が起きた。また、高松市には8つの商店街があるが大型商業施設が建設されると消費者が流出し、商店街の通行量も年々右肩下がりとなっていった。そのような中、高松丸亀商店街では商店街をA街区-G街区の7地区に分けて再開発を行い、平成18年にA街区が完成してからは通行量の減少に歯止めがかかり横ばいが続いている。
また高松市では、平成25年6月に第2期中心市街地活性化基本計画を策定し、「にぎわい・回遊性・豊かな暮らしのあるまちを目指して」をコンセプトに中心市街地の活性化に取り組んだ。しかし、目標指数として掲げた「中央商店街の空き店舗率(全フロア)」・「中央商店街における歩行者通行量(休日)」・「市全体人口に対する中心市街地の居住人口割合」の3つの指標はいずれも達成することができなかった。現在、令和元年7月から第3次中心市街地活性化基本計画を「来まい・住みまい・楽しみまい-コンパクト・エコシティたかまつ-」をコンセプトに取り組んでいる。

  1. 空き店舗活用支援事業
    新規出店補助制度(改装費補助)として、商店街における「にぎわいの創出」・「商業機能の強化」を目的とする。空き店舗率20%以上の商店街は補助率2分の1、限度額100万円、空き店舗率20%未満の商店街は補助率4分の1、限度額50万円とし、経営支援機関での相談、商店街振興組合への加入を条件としている。
    平成29年8件、平成30年度9件の新規出店の実績があり、飲食店を中心に新規出店が続いている。
  2. 南部3町商店街活性化拠点施設マチカドプラザ事業
    事業の実施主体である南部3町(田町・常磐町・南新町)が設置したまちづくり会社へ補助金による支援を実施し、南部3町商店街の空き店舗率の上昇・通行量の減少などに対応するため「マチカドプラザ」を開設、SNSを活用した情報発信力の強化、商店街へ出店を検討する者への支援や相談などを行っている。
  3. 商店街活性化促進事業・商店街共同施設事業
    商店街の安心安全確保のため防犯カメラの設置、省エネ対策として街路灯のLED改修、老朽化した立体駐車場やアーケードの設置修繕などの支援を行い、各商店街の商業環境を改善することで、より魅力的でにぎわいあふれる商店街の構築を目指し、空き店舗率の改善や通行量の増加につなげていく。

所感

高松市の中心市街地活性化基本計画では、再開発事業の中で商店街の活性化を行うための客用の立体駐車場を整備するだけではなく、医療・福祉施設と一体的な都市型住宅を整備するなど、商店街の活性化と生活利便性の向上を一体的に目指す取り組みがなされていた。現地視察を行った丸亀町商店街では、駐車場収入が2億円程度あり、その自主財源を活用して、商店街独自のさまざまな取り組み(イベント)を実施していた。唐津市においても商店街の自主財源の確保は重要であると感じた。
また、空き店舗活用支援事業では、商店街の空き店舗率に応じて、補助率・補助限度額を変えており、唐津市においても今後の商店街の活性化に向けた取り組みの参考になると感じた。
さまざまな取り組みの説明の中で、商店街の活性化にはコミュニティがあることが必須条件だと説明があった。唐津市では曳山による繋がりの強いコミュニティが現存しており、商店街の活性化へ繋げることができると感じた。

 
高松市1 高松市2

説明を受ける様子

現地視察(丸亀商店街)

高松市3

 

丸亀商店街

 

 

(2)視察項目:重要伝統的建造物群保存(町並み保存)について察先:広島県竹原市

概要

竹原市は広島県の南中部に位置し、古くから瀬戸内の交通の要衝として発展し、室町時代より港町として知られ、江戸時代後期からは「塩田」と「酒造」により発展し、塩はその当時広島県が全国の80%のシェアを占めていた。その後、昭和35年塩田整備法により竹原市の塩田は、300年余りの歴史を閉じることになったが、旧塩田地はJR竹原駅を中心に開発が進み公官庁や商店街など、新市街地へと転換していった。市街地開発が旧塩田地に移ったことにより、町並み保存地区周辺は江戸・明治時代の趣を留めたまま保存されることとなった。
町並み保存地区が昭和57年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定、令和元年5月には「北前船寄港地・船主集落」が日本遺産に認定された。竹原市では、町並み保存地区の借景となる山々を風致地区とすることで開発行為を制限している。また、「竹原市伝統的建造物群保存地区保存助成金交付要綱」を定め伝統的建造物の修理等の費用の5分の4の補助を行い後世に良好な状態で町を引き継ぐ取り組みが行われている。
また、町並み保存地区は昭和58年に中国電力・NTTの協力により、無電柱化がなされ、平成3年からは街路整備事業により景観舗装も実施されたため、江戸・明治時代の趣を留めたまま保存されている。そのため映画やテレビドラマのロケ地やアニメにも取り上げられ観光客も多く訪れていた。
しかし、町並み保存地区の高齢化率は53.7%(平成31年4月30日現在)と高く、空き家が増加し建物の劣化や周辺部で現代的な建物や駐車場が増加するなど、連続性のある街並みを後世に保存・継承していくことが難しくなってきている。そのため保存計画の見直しを行い、建物の外観変更行為を許可制にし、「たけはら町並み温故知新」という冊子を作成し、町並み保存地区の歴史・特徴やルールを市民へ啓発を行った。また、平成24年度「竹原市駅指摘風致維持向上計画」を策定し、町並み保存地区周辺71ヘクタールを重点地域とし、公園整備や歴史的建造物の修理などの16事業に取り組み景観の向上を行っている。

所感

竹原市の「竹原市伝統的建造物群保存地区保存助成金交付要綱」では、管理・修理・復旧・修景と補助が細分化(費用の5分の4上限600万円)されており、「竹原市伝統的建造物群保存地区保存修理原材料支給要綱」では瓦や壁などの原材料を支給する補助(上限6万円)もあり手厚く補助を行っている。補助金を出すにあっては、改修などの設計書の精査はまちづくり担当課ではなく、さまざまな研修を受けた教育委員会の文化財保護係で行うなど、町並み保存地区を維持してくための行政の熱意を感じた。
また、町並み保存地区では、「たけはら竹まつり」・「たけはら町並み雛めぐり」・「町並み竹灯り」や伝統的建造物を活用した東京藝術大学生による竹原芸術イベントなどを開催するなど、ハード面の事業だけではなく、ソフト面からも事業を行い町並み保存の維持・活性化に努めていた。
唐津市では「城内地区」・「曳山通り」を景観計画の重点区域に指定し、景観法に基づく景観形成のルールを定め、令和元年度から補助事業を行っているが、竹原市の事業はハード・ソフトともに唐津市がこれから町並み保存を行っていく上で参考になると感じた。

 
竹原市1 竹原市2

説明を受ける様子

現地視察(町並み保存地区)

竹原市3

 

竹原市役所前

 

問い合わせ

議会事務局 

〒847-8511 佐賀県唐津市西城内1番1号

電話番号:0955-72-9162