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更新日:2022年7月25日

総務教育委員会行政視察報告書(令和4年度)

1加委員

吉村慎一郎委員長、中川幸次副委員長
青木茂委員、岡部高広委員、黒木初委員、大西康之委員

2察日

令和4年4月25日(月曜日)、4月26日(火曜日)

3察概要・所感

視察項目1:公共施設マネジメントの推進について(視察先:兵庫県伊丹市)

概要

伊丹市は、約20万人の人口で面積25k平方メートル(5km×5km)と狭いが、100%市街化区域で坂がなく平坦な地形である。大阪駅から電車で13分と大阪近郊のベッドタウンとして、コンパクトシティを形成している。

市の財源として、ボートレース事業収入や伊丹空港関係助成金での歳入があり、特色ある公共施設整備や学校の空調設備、市内72か所の集会施設などに充当されている。

公共施設マネジメントとしては、平成23年から平成25年に見える化として「白書」を作成し、方針として「総合管理計画」「再配置計画」を策定。平成27年に「公共施設マネジメント基本条例」を制定し、平成28年から令和2年の5年間で、複合化、集約化、民間譲渡と具体化されており、総論から各論へ段階的な取り組みが行われている。また、令和3年には、「総合管理計画」「再配置計画」の見直しが行われ、公共施設の延床面積を20年間で10%以上の削減目標を定めている。

マネジメントの推進体制については、施設マネジメント課と施設所管課との二人三脚で進められてきたとのこと。

集約・複合化事業では、老朽化し分散している施設を機能集約・複合化し、世代間交流が可能な地区の拠点施設として整備されている。その際の市からの条件として、集約前後で床面積が減少すること、施設運営は地元主体で行うこと、防災機能を備えることの3点が条件で、単独での建て替えや機能向上は図らないこととされている。実際に地元主体でNPO法人を立ち上げられ、施設運営にあたられている。

再配置事業では「機能移転」=「寄せて詰め込む」印象で行われ、異なる機能が1つの施設に共存することでの課題解決の代替案も提案されており、貸室の予約が取りにくくなる代替案としては、改築による増室や休館日を減らす、施設運営が複雑になる代替案としては、受付窓口を1本化するなどといった対応を実行されている。

所感

大阪近郊のベッドタウンで、将来的な減少が想定されていない自治体であり
ながらも、「公共施設等総合管理計画」が風化してしまう恐れがあるため、継続性を担保するためには、法的根拠が必要であると判断され、全国初の公共施設マネジメント基本条例を制定し、基本的な理念や最低限の事務作業(毎年の進捗報告等)などを明文化、基本計画の策定と根幹となる総量削減の規定により、令和12年度までに10%の削減目標を掲げて取り組まれており、市長を中心とした公共施設マネジメントへの取り組みの姿勢は参考となるものであった。

また、担当者の説明では計画的なマネジメントの困難さも感じたと同時に、施設所管課と連携した推進体制は唐津市としても必要であり、唐津市においては過疎化や人口減少などが顕著であることからも、確実に実行していくことが必要であるとあらためて認識したところである。

視察の様子(伊丹市) 建て替え中の伊丹市役所新庁舎

視察の様子

建て替え中の伊丹市役所新庁舎

 

視察項目2:廃校になった資産の活用について(尼崎市立歴史博物館)(視察先:兵庫県尼崎市)

概要

尼崎城の本丸跡に学校用地として、昭和13年に尼崎市立高等女学校として
竣工。その後、尼崎高等学校、城南中学校、成良中学校校舎として活用され、学校統廃合によりその役割を終え、平成21年から1階部分を文化財貯蔵庫として活用され、平成30年から整備工事が行われ、市立地域研究資料館の機能も引き継ぎ、令和2年10月に尼崎市立歴史博物館としてリニューアルされた築84年の施設である。

整備費用は約14億円で、内1億円は展示品などの整備に充てられている。
築84年の施設であるが、各教室の仕切りの壁がRC構造であった点と口型の建築物であったことで、簡易な補強だけで震度7にも耐えられる強度であるとのことだった。また、博物館として重要な資料などが保管されているため、浸水対応として2階以上の部屋を活用し、収蔵庫の湿度と室温を一定に管理、火災対策では消火に水が使用できないため、窒素ガスによる消火設備や更なる防護対策として教室の中にもう一部屋強固な部屋を造るなどの対応が行われている。

耐震診断の結果は思ったよりも良かったが、壁の取り壊しなどは耐震性の低下になるため、もともとの教室の構造のままで整備されている。そのため6教室を活用して、1.原子・古代、2.古代・中世、3.近代Ⅰ(江戸時代)、4.近代Ⅱ(江戸時代)、5.近代(幕末~太平洋戦争)、6.現代(戦後~現在)と時代で分けての展示となっている。

また、常設展示室内のデジタル化については、国の予算を活用した音声ガイドの導入はしているものの、ほぼ学芸員の手作りによる展示案内であるとのことだった。

所感

学校統合により廃校となった学校施設を活用した事例として、公文書館機能や文化財収蔵庫を備えた本格的な博物館への転用は興味深かった。

特に、博物館で見て聞いて、更に史料により掘り下げて学習ができるような市民の歴史研究の場となっている点や、小学校との連携や出張授業も取り入れられており、市民と一体となって活用していきたいという意思が感じられた。

また、リノベーションにおける困難さや、工事に13億円、展示施設に1億を要した点などは、具体的な説明があり参考となった。

さらに、教室の姿をそのまま残したガイダンス室や次の展示に対するPRを廊下のスペースを活用して行われているなど、各々の空間を最大限に活用し、学芸員の方がよく整理され展示されていると感じた。
唐津市においても閉校施設の利活用は大きな課題であるため、このような事例を更に研究しながら課題の解決に役立てたい。

博物館全景 常設展示室内
博物館(校舎)全景 常設展示室内
従来の教室スペース 廊下を活用したPR

従来の教室スペース

廊下を活用したPR

 

視察項目3:柳川市民文化会館「水都やながわ」の整備について(視察先:福岡県柳川市)

概要

柳川市民文化会館「水都やながわ」は令和2年12月20日にオープンした新しい施設である。「柳川市民文化会館(仮称)基本構想策定アドバイザー会議」を設置され、建設地の選定から始められている。整備スケジュールは1.基本計画の完成(平成27年8月)、2.設計者選定(平成28年3月)、3.基本・実施設計完了(平成29年5月)、4.工事業者決定(平成29年度中に2回の不落⇒平成30年5月建築工事、6月電気・機械・舞台工事が落札)、5.工事着工(平成30年8月)、6.工事竣工(令和2年8月末)、7.開館(令和2年12月20日)であり、当初計画より9か月遅れの開館となっている。

事業費は平成27年度の基本計画では約40億円と試算されていたが、東京オリンピック決定など社会情勢に伴う建築費の高騰やコロナ禍などの影響による工期延長などで、最終的には50億円を超える見込みであるとのことであった。この建物は、水都柳川のイメージを大切にされ、掘割側からのフロントをメインに考えられており、水上に浮かぶ柳川の舞台がコンセプトである。利用者目線で掘割を活かす、屋内外をつなぎ大きなスペースを確保し、イベントなど交流事業へ繋げていくという考え方である。そのために、空気浮上式による移動客席を採用され、可動式間仕切りにて仕切られているため、利用者のニーズに合わせた自由なレイアウトが可能である。ただ、空気浮上式による移動客席のデメリットとしては、移動のための人出が必要であるとの説明であった。

現在は教育委員会の直営で11人体制で運営、その他3人の音響、照明などの技術関係は外注職員で構成されている。

1階、2階に設けられた共用ロビーでは、無料でピアノが演奏できたり、高校生の勉強の場として活用されており、利用者も多いようである。
施設内にはカフェは設けられておらず、今後はキッチンカーの活用を考えられているようである。

所感

柳川市民文化会館においては、地域特有の掘割を意識した空間利用、良質な音響性能および利用しやすさを意識して整備を行ったとのことであった。

大ホールにおいては、地域特有の掘割を意識し、平土間としての活用を想定した構造とする一方、建物裏側については「魅せる」要素を極力省くなど、コストを抑える工夫をされていた。

また、開館後、利用者からカフェ設置の要望があり、キッチンカーの活用を模索するなど、運用面においての工夫に継続して取り組まれているとのこ
とであった。

現在整備を進めている新唐津市民会館(仮称)の整備にあたり、参考事例として、有意義な視察であった。

 

柳川市文化会館「水都やながわ」整備のコンセプト(掘割) 白秋ホール内部
柳川市民文化会館「水都やながわ」整備のコンセプト(掘割) 白秋ホール内部(特徴として可動式客席800席働時1140席)
多用途に使えるレッスンルーム  
多用途に使えるレッスンルーム  

 

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