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更新日:2022年8月29日

産業経済委員会行政視察報告書(令和4年度)

1参加委員

楢﨑三千夫委員長、浦田関夫副委員長

宮原辰海委員、久保美樹委員、石﨑俊治委員、進藤健介委員、宮本悦子委員

2察日

令和4年7月27日(水曜日)、7月28日(木曜日)

3視察概要・所感

視察項目1:起業家の集まるまち守山について(視察先:滋賀県守山市)

概要

守山市は、2020年に市制施行50周年を迎えた人口約8万5千人の都市で、江戸時代には中山道の宿場町として栄え、旧中山道は昔ながらの家並みが残り、当時の面影を偲ばせていた。現在は京都や大阪のベッドタウンという地域性から毎年500~800人程度人口が増加し、2040年頃まで人口増加が続く見込みである。市域は東西が8.4km、南北が12.2kmで面積55平方キロメートル、また市内の高低差は約20mで、平坦な地形でかつコンパクトなまちである。琵琶湖から市街地中心の守山駅までは10km程度で、琵琶湖側(北側)から湖岸リゾートエリア、田園エリア、市街地エリアと市域は南北3つのエリアに分かれている。
平成27年度から地方創生総合戦略の第1期事業として湖岸リゾートエリアの活性化を目的に、自転車を軸とした観光振興「ビワイチの発着地のまち守山」を実施し、サイクリストの増加や温浴施設、ホテルの新規開業などの民間投資につながり、既存施設の来場者の増加や民間施設の大型改修へとつながっている。
令和3年度からの第2期事業では、起業支援・企業誘致を柱に、今回の視察項目でもある「起業家の集まるまち守山」をテーマに取り組まれている。
県内初となるクラウドファンディング補助制度や民間副業人材を行政アドバイザーへ登用、BASEコラボセミナーの開催、国・県・市との未来ミーティングの開催などさまざまな事業を展開し、情報発信を行うWebサイトも官民連携で制作。
また、「起業」は環境による効果が大きいとの検証から、地域における機運醸成も兼ねて小中学校・高校での起業家による職業講話や中高生向けビジネスコンテストの開催等、市が内容から人材派遣まで全面バックアップした小中学校での授業や職場体験と連携した起業教育も実施している。
将来世代にもつなげるまちづくりと民間主導の機運をさらに盛り上げ、行政・まちが応援する体制づくりと起業家のハブになることを推進されていた。

所感

守山市は、「企業の集まるまち」でも「企業のまち」でもなく、「起業家の集まるまち」を目的に事業推進がなされていた。市長が先頭に立ち、市長の考えを具現化するために銀行や国、県など外部での経験値がある職員を実行部隊として配置し、職員の並々ならぬ熱意と努力でスピード感がある事業展開を行うことができ、短期間で成果もあがっている。
しかしながら、事業すべてを行政が行うのではなく、守山市の起業支援は、「民間が主役」を基本に、行政はやる気と意欲のある人を「熱意と全力応援する」スタイルという特徴があった。
民間主導を軸として行政はあくまでも支援体制を構築するもので、「市の金を使うと必ず失敗する」、「投資は民間に任せる」、「行政は最後まで応援する」などの基本を持っての政策推進は見習うことばかりであり、結果として、地域をあげた支援体制の確立につながり、民間投資が広がる大きなうねりとなっていた
また、起業支援事業だけでなく、次世代へ向けた起業教育も実施しており、地元の小中学校、高校生を対象とした起業に関する学びの場を作り、都会に出ていかなくても生まれ育ったところで生活し、故郷に誇りをもって生きていけるようなまちづくりが地域振興や地方創生へつながるものと感じた。
企業誘致や起業支援は、行政主導での事業になりがちなので、民間が主役となるような環境を整えることが行政の仕事であると感じた。

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視察の様子

「future lab」視察の様子

視察項目2:高収益農業の実現について(視察先:滋賀県東近江市)

内容

東近江市は、平成17年から18年にかけて1市6町が合併し、人口は約11万2千人、面積は388.37平方キロメートルで、日本列島のほぼ中央でかつ京阪神と中京都市圏の中間に位置している。東に鈴鹿山脈、西に琵琶湖があり、市内を走る愛知川・日野川の流域に平地や丘陵地が広がる緑豊かな田園地帯を形成している。
市域の西にはJR線、中央部には名神高速、幹線道路などの交通網が近隣府県とつながっており、地域内交通として近江鉄道が地域の中心部を通っている。
古くは市場町として栄え、区画整理事業などにより発展した八日市駅周辺が商業の中心的な役割を担いつつ、近年開発は進んでいるJR能登川駅周辺、各地区に散在するロードサイドショップや郊外型店舗などから成り立っている。
農業では、近畿最大の耕作面積を誇り、古くから米の主要産地であり、野菜や果物の生産も盛んで、近江米や近江牛、政所茶といったブランドの生産地でもあり、畜産業・漁業・林業の振興にも力を入れている。
しかしながら、耕地面積が近畿最大であるものの市内のスーパーには東近江市産の野菜が少ないという市長の素朴な疑問や農業の30年問題への対応から、農家が安定して「基本給」を得られる仕組みがなければ就農する若者は出てこないという考えのもと、今回の視察項目である「高収益農業の実現」へ取り組まれている。その大きな取り組みのひとつが、米作が主体であった農業から野菜を栽培することにより、儲かる農業への転換を図り、農産物を地域内で流通させる「地域内中規模流通」の構築で、その実現のために地域商社の設立をおこなったことである。
農産物の流通は大規模流通(市場流通)と小規模流通(直売型)があるが地域商社がその中間にあたる「地域内中規模流通」を担うことにより、農家が安定した所得を確保できるよう具現化し、地域商社が出荷作業・流通・販売を行うため、農家は生産に集中できるようになる。消費者は地域でとれる新鮮な農作物を安定供給され、地域では地域内自給率の向上や災害などによる物流の途絶にも強い地域を創れる。そして、安定した販路を確保し生産支援も行うため、誰でも安心して就農が可能となり、農家(売り手)よし・市民(買い手)よし・地域(世間)よしの三方よしを実現へ向け現在取り組まれている。

所感

農家が作った作物の値段は、一般的には市場任せになり、収入の安定は望めない。身近な収入を得られるよう直販所にも卸しているが、直販所は即金が得られるものの、売れ残りの処分なども発生する。こういった現状の中、地域商社を興したことで、農産物の安定価格で買い取りや出荷作業・流通・販売、相場リスクと商品化・物流化コストを地域商社が担うため、生産者が生産に集中できると感じた。
また、生産物には規格外品が発生するが、加工業者とも連携ができており、無駄が少なく、このメリットも大きいと感じられた。地域にある大手スーパーや小売店はもちろんのこと、フランチャイズなどへの加工業務販売も手掛けているとのこと。唐津市においても道の駅や直販所などの小規模流通はあるが、飲食店やスーパー、学校給食などへの周年を通しての地場野菜の販売ルートを考えてみる必要があると感じた。
地域内流通という考え方は、地産地消や地域経済の振興にもつながり、安定した販路もあることから、新規就農者にも魅力が出てくる。また、市場流通に乗らない農産物の地産地消にもつながる。農業形態が異なるが、唐津市の農政を見てみると、生産するまでが行政の仕事だと考えている部分がある。どのような形態であれ流通に乗せ、農家の所得向上までが仕事であると取り組んでほしい。

 

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視察の様子 東近江市議会議場

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