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更新日:2021年3月2日

都市整備委員会行政視察報告書(令和元年度)

1参加委員

宮崎卓委員長、江里孝男副委員長

田中秀和委員、福島尚美委員、笹山茂成委員、中川幸次委員

2察日

令和元年7月30日(火曜日)から31日(水曜日)

3視察概要・所感

(1)視察項目:公園再整備事業、Park-PFIについて察先:滋賀県大津市

概要

津市は人口約34万人、面積464.51平方キロメートルであり、唐津市と面積は同じくらいであるが、人口においては約3倍を有する中核市であり、滋賀県の県庁所在地となっている。
そのような大津市には、都市公園が222か所、児童公園が590か所、遊具数が2,000基以上あり、これらを今後どのように維持・管理していくのかという課題がある中で、公園整備の概要と方針を定めた「第4次大津市緑の基本計画」を2018年に策定した。その中で、1.緑の骨格の保全2.都市公園などマネジメントの強化と多機能化3.協働による緑のまちづくりの促進の3つの基本方針を定め、この方針に基づき、さまざまな公園整備が進められている。

本方針2を基に統合・廃止・機能の見直しなど地域の状況に合わせた再編を検討していく中で、緩和と協働(にぎわいの創出)を推進し、民間事業者のノウハウおよび資金の活用や行政の建設費・維持管理費の削減の観点から、「ジュネーブ構想大津駅前公園整備事業」に取り組んでいる。この事業は、スイスの都市ジュネーブと大津市が、シンボルとなる湖を中心とした地理的条件が似ていることから、ジュネーブのにぎわいづくりを参考に計画されたものである。

のジュネーブ構想は、プロジェクト1、プロジェクト2、プロジェクトXからなり、現在、プロジェクト2の大津駅前から琵琶湖に伸びる中央大通り沿いにある大津駅前公園の整備事業をPark-PFI(公募設置管理制度)により進められている。

Park-PFI(公募設置管理制度)は、公園管理者が設置する都市公園内で飲食店、売店などの公園施設と広場や遊具などの設置・管理を行う民間事業者を公募により選定することで、都市公園の利便性、魅力の向上を図ることができ、行政の建設費や維持管理費を削減が可能となるものである。

後、大津駅前公園の整備事業では、約1,500平方メートルの公園内に、公募により選定された民間事業者が、カフェやトイレを整備し令和2年度の春のオープンに向けて事業が進められるということであった。さらには公園横の歩道をおよそ車道一車線分拡幅し、マルシェスペースなどでも利用できるように道路と公園を一体的に整備することが予定されている。

所感

津市では、マスタープランである第4次大津市緑の基本計画に基づき、公園のあり方や活用についてさまざまな手法を用いて取り組んでいると感じた。

在、Park-PFI(公募設置管理制度)により進められている大津駅前公園整備事業については、大津市では従来の制度によるカフェの設置なども行っていることから、民間事業者もノウハウを持っていると思われ、Park-PFIの制度を十分活用できるという印象を受けた。

Park-PFIの制度は、事業者が公園での事業収益の一部を、公園の環境整備・再生整備などに還元することが条件となっているため、事業者が還元できるだけの収益をあげられるかが課題である。オープンカフェ社会実験などの実証実験を行っているものの、収益がどれくらい出るかは営業が開始するまで不透明である点は難しさがあると感じた。令和2年春のオープン予定ということで、今後の動向が気になるところである。

津市においても、公園の魅力ある利活用や効率的な管理運営の一つの手法として参考としたい。

 
大津市役所で説明を受ける様子 大津市役所前での集合写真

説明を受ける様子(大津市役所)

大津市役所前

(2)視察項目:景観計画について察先:京都府宇治市

概要

治市の歴史は平安時代にさかのぼり、交通の要衝として発展してきた。平安時代以降は貴族の別荘地であり、鎌倉時代、安土桃山時代、江戸時代と特有な文化が栄え、特に宇治茶の文化を中心とした歴史は宇治を物語っている。また、世界遺産である平等院鳳凰堂、宇治上神社があり、太閤堤など豊富な歴史的資源や、宇治川、宇治橋など豊かな自然景観を有している。

のような宇治市で、景観行政が行われるきっかけとなったのが、平等院と宇治上神社が世界遺産に登録された2年後の平成8年に、平等院の背景に15階建てマンションが建設されたことであった。景観法の施行前の平成14年に景観条例を制定し、平成15年に景観形成基本計画を策定している。景観法施行後は景観行政団体となり、平成20年に景観計画の告示を行っている。景観計画の概要は、次のとおりである。

  • 景観計画区域は、市全体で、一定規模以上の建築物や工作物の建築などが届け出対象
  • 重要区域は3地区で、全ての建築物や工作物の建築などが届け出対象
  • 良好な景観の形成のための行為の制限のほか、屋外広告物に関する行為の制限も規定
  • 現在、景観重要建造物として1件指定をしている
  • 良好な景観の形成のための行為により、さらに景観配慮をする行為については補助制度がある

お、景観形成助成制度については、助成額は対象経費の2分の1で、対象物の種類ごとに地域、対象となる工事、限度額が定められていて、事業を開始した平成22年からの9年間で、27件、約2,100万円の助成を行ったということであった。

た、通称「宇治市まちづくり・景観条例」に基づき、市民の自主的なまちづくり活動を支援していて、現在は8つの地区で地区まちづくり協議会が設立され、それぞれで、取り決めなどを定めた計画を立てられていた。

後は、平成21年に国史跡に指定された、豊臣秀吉による大規模治水遺跡である太閤堤の発見を契機に歴史・文化を生かしたまちづくりを進めていくとのことであった。

所感

治市においては、宇治川などの自然景観、平等院鳳凰堂などの世界遺産など、文化財的な価値を有する歴史資源、地域の自主的なルールなどさまざまな景観資源の構成要素があると感じた。それらの構成要素が都市計画法、文化財保護法、歴史まちづくり法、宇治市まちづくり・景観条例といった本来ならば趣旨や目的の異なる法令によって価値付けされていながら、「悠久の歴史と自然を今に活(い)かしふるさと宇治を誇り伝えん」という宇治市景観計画の基本理念に上手く収められているという印象を受けた。

た、宇治市は、世界遺産である平等院鳳凰堂をはじめ、歴史的建造物や史跡などが多く、国内外からの観光客が一年間を通して多く訪れるため、景観の保全についての住民意識が醸成されやすい場所である。現在、8地区で地区まちづくり協議会が設置されていて、なかには自分たちの地域の将来像を実現するために必要な地域のルールなどを定めた地区まちづくり計画を定めている地域もあり、景観に対する意識の高さが感じられる。

津市でも、独自の景観形成ガイドラインを作成した地区や、建築物の位置や色彩などについての景観協定を締結した地区もあるため、地区まちづくり協議会の事例については、今後検討する余地があると思われる。

 
宇治市役所で説明を受ける様子 宇治市役所で説明を受ける様子

説明を受ける様子(宇治市役所)

説明を受ける様子(宇治市役所)

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